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フランス人(国民)の王!ルイ=フィリップ1世と七月王政~クラッシクコイン買取~

金貨買取専門店金貨買取本舗では日頃お買取りでお取り扱いをしている世界のコインをご紹介していきます。今回は19世紀フランス、ナポレオン皇帝についてもお話しましたが100日天下の後に王位についたフランス国王、ルイ=フィリップ1世についてお話いたします。
歴史上「ルイ=フィリップ1世」と称される人物は2人います。1人は、ブルボン朝の貴族「オルレアン公」ルイ=フィリップ1世。そして、王政復古により復活したブルボン朝が、7月革命によって再び倒された後に、市民に推戴されて王となったルイ=フィリップ1世です。
この2人は、祖父と孫の関係にあります。ここでは、フランス王となったルイ=フィリップ1世について解説します。
フランス王ルイ=フィリップ1世は、フランスを発展に導く政策をとったものの、民衆の支持を得られず、結局革命によって失脚することになります。ルイ=フィリップ1世が興したオルレアン朝フランスは、フランス最後の王政となり、ルイ=フィリップ1世はフランス最後の王様となりました。半生と金貨を絡めてお話いたします。

ルイ=フィリップ1世の幼少期は?フランス貴族から没落の亡命生活へ

ルイ=フィリップ1世

ウィキペディア(Wikipedia)より画像引用

ルイ=フィリップ1世は、フランス革命により倒されるルイ16世の父親、ルイ15世が天然痘により崩御する前年、1773年にオルレアン公ルイ=フィリップ2世と、太陽王ルイ14世のひ孫にあたるルイーズ・マリーとの間に生まれました。

幼少時には当時流行していた啓蒙思想の系譜であるリベラリズム(自由主義)を学んでいます。その影響で、彼はフランス貴族でありながら、リベラリストの側につき、公爵邸を革命派の会議場として開放していました。それどころか、ロベスピエールが主導し、フランス革命を起こしたジャコバン・クラブにも入っています。

フランス革命によりブルボン朝が倒された後、オーストリアの介入によってフランス革命戦争が起こると、ルイ=フィリップはフランス軍の兵士としてオランダに出征、しかし上官のシャルル・デュムーリエが敗北を機にオーストリア軍に寝返ったため、ルイ=フィリップもなし崩し的にオーストリア軍の兵士となってしまいました。

そのせいでルイ=フィリップの父親ルイ=フィリップ2世は、ジャコバン派から裏切り者の嫌疑をかけられ、処刑されます。そのためルイ=フィリップはスイスへ亡命教師をしながら細々と暮らしていました。その後にはドイツ、スカンディナヴィア、アメリカを転々とし、最終的にはロンドンに腰を落ち着けます。

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オルレアン朝成立。7月革命でフランス王に!

7月革命絵画

ウジェーヌ ・ ドラクロワ作 1830年 「民衆を導く自由の女神」/フランス7月革命


ルイ=フィリップがフランス国外で亡命生活を送っている間、フランスでは共和政府が内部抗争を繰り返すことで分裂し、弱体化。ナポレオン・ボナパルトがクーデターによって実権を奪い、皇帝ナポレオン1世として即位し、フランス第一帝政が始まっていました。

しかし、フランス第一帝政はわずか10年で崩壊。ルイ=フィリップは、ナポレオン1世の帝政が終焉した時点で、ロンドンからフランスに戻ります。

ナポレオン1世が失脚すると、ナポレオン1世の帝政に対抗していた第六次対仏大同盟は、ルイ16世の弟にあたるルイ18世を王位に担ぎ上げ、ブルボン朝が復古しました。しかし、ルイ18世即位の翌年、イタリアの小島に追放されていたナポレオンがフランスに帰国。配下が次々とナポレオンに寝返ったため、ルイ18世はイギリスに逃亡します。

再びフランスを掌握したナポレオンでしたが、ナポレオンの復活を認めない連合国と対峙したワーテルローの戦いで敗北し、イギリスに投降。ナポレオンの復活はわずか100日足らずで終わりました。イギリスはナポレオンを南大西洋のセントヘレナ島に追放し、そしてナポレオンは島で生涯を閉じることになります。

フランスでは、再びルイ18世が王に即位してブルボン朝が2回目の復古を果たしました。
しかしフランス国内はあいかわらず派閥に分かれて争いを繰り返していました。ワーテルローの戦いの敗北によりフランスは領土を縮小し、賠償金を支払うことになりましたが、その不満はルイ18世に向けられることになりました。

ルイ18世死去後、後継者となったシャルル10世は議会と対立。言論弾圧や旧貴族保護などが国民からの不満を呼び、経済政策の失敗もあって、民衆が蜂起した7月革命が勃発。復古したブルボン朝は再び倒されました。

7月革命は資本家階級=ブルジョワジーによって主導されていました。ルイ=フィリップは、革命中ちゃっかりブルジョワジー側についています。

そして、ルイ=フィリップが議会を掌握した自由主義者、ブルジョワジーによって王に推戴され、ここにフランス最後の王朝となったオルレアン朝が成立しました。7月革命によって成立したこの王政を7月王政と呼びます。

ルイ=フィリップ1世金貨 ~ROI DES FRANCAIS~

広義の意味で19世紀~20世紀フランスで発行された金貨を総称してナポレオン金貨といいますが(ナポレオン国王の金貨のみではなく)ルイ=フィリップ1世のナポレオン(フラン)金貨は在位期間の1830年~1848年に発行されました。
流通貨のフラン金貨は発行枚数が多いため比較的プレミア価値が薄く、地金価値相当で取引されるコインが多いのが一般的ですが、未使用品・美品など状態がよいものはプレミアがつく場合がございます。
デザインの特徴の一つは、表面に刻まれている言葉です。表面は歴代の国王と同じくルイ=フィリップ1世の右向きの肖像が描かれていますが「ROI DES FRANCAIS」という文字が書かれています。
これは〝フランス人(国民)の王"という意味で、それまでは「ROI DE FRANCE」であり〝フランス王"でした。
革命期で混乱しているフランスで絶対主義を連想される言葉をさけ、立憲君主制の王として君臨したことをコイン上でも宣言したのでした。立憲君主制の下、国政を行うも市民革命の2月革命が終息せず、退位して第二共和政がはじまりますが、それまでルイ=フィリップ1世のナポレオン金貨は発行されます。

ルイ=フィリップ1世の発行されたナポレオン金貨の額面は20フラン金貨と40フラン金貨のみでしたが、試作金貨の100フランと実際は銀貨で発行するものを金打ちをした1フラン試鋳金貨が存在します。100フラン金貨は数百万という価値があるようです。
試作金貨が再びオークション市場に出たときの価格は今保有しているかたが手放したいと思う価格ですよね。プルーフ型アンティークコインにも価値が多く生まれますが試鋳金貨のなかでもパターン貨のみでこの世に出回ることがなかったこちらのコイン、今は世界のどこで大切に歴史を刻んでいるのでしょうか?

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革命によって生まれた王、革命によって亡命

フランス王となったルイ=フィリップ1世は、ブルジョワジーの代弁者として経済政策を推進。イギリスに70年ほど遅れた産業革命がフランスにももたらされました。

ルイ=フィリップ1世は対外戦争にも積極的で、シャルル10世により行われていたアフリカのアルジェリア侵略を完了させ、アルジェリアをフランスの植民地としています。このアルジェリア侵略時に、フランス人の死者を減らすために設立されたのがフランス外人部隊です。

さらに、メキシコの内戦でフランス人菓子職人が略奪を受けたとの訴えを口実に、メキシコへ介入。
フランスは戦争を優位に進め、イギリスの仲介によってメキシコから多額の賠償金を引き出しています。この戦争は菓子職人がきっかけとなっているため、菓子戦争と呼ばれています。

また、アヘン戦争で清国がイギリスに敗北すると、それに乗じて清にフランスとの通商を認めさせる不平等条約・黄埔条約を締結してもいます。

対外的には勝利を重ねていたルイ=フィリップ1世でしたが、国内では支持者のブルジョワジーのみを優遇し、選挙権もブルジョワジーにしか認めていなかったため、大衆からは「株屋の王」などとも揶揄されていました。

産業革命による経済発展は、プチブルジョワジーと呼ばれる中間層を生んでいました。プチブルジョワジー、そして労働階級のプロレタリアートは選挙権を要求するものの、政府はこれを弾圧、民衆には不満がたまっていきます。

そのころ、欧州ではじゃがいもを枯らす病気が蔓延した影響で、じゃがいもや小麦などの値段が高騰しており、社会も不安定になっていました。

そして、政府が選挙権や政治改革を要求する集会、通称「改革宴会」を禁止すると、民衆の不満が爆発。7月革命とはまったく毛色が違う、プロレタリアートを中心とし、社会主義者が主導する2月革命が勃発します。

ルイ=フィリップ1世はそれに対して議会の首相を更迭することで沈静化をはかったものの、民衆の怒りは収まることはなく、退位してイギリスに亡命しました。

2月革命によってフランスの王政はオルレアン朝が最後となり、社会主義色が強い共和制へと移行。ルイ=フィリップ1世は亡命したイギリスで最後を迎えました。

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