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「一分銀が家にあって売りたいけど、価値がわからない」
「たくさん一分銀を持っているけど、それぞれの価値や違いを知りたい」
祖父母から譲り受けた、家から出てきた一分銀を見てどうしようか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
一分銀とは、江戸時代に銀座で鋳造された銀貨です。日本の貨幣史において重要な役割を果たした貨幣であり、さまざまな特徴や価値があります。
本コラムでは、一分銀の種類や買取価格について紹介します。一分銀に興味がある方や、持っている一分銀を売りたい方は、ぜひ参考にしてください。
一分銀とは、江戸時代に鋳造された銀貨の一種です。1837年に鋳造が開始され、デザインを変更しながら1869年まで作られていました。
重量は約8g、主な素材として銀が用いられており、コレクターにも人気の高い種類です。
表面には「一分銀」という文字、裏面には「定 銀座 常是」という銀座の証が刻まれています。両面とも、桜の絵で銀貨を縁取っているのも特徴的です。
また、桜で縁取っていることから一分銀の愛称が「桜」になったとされています。
なぜ一分銀で桜模様が使われるようになったのかというと、一分銀の由来が関係しています。名前を考える際、「花降一分銀」が候補にあがりました。
花降銀は上質な銀という意味です。しかし、当時の老中だった水野忠邦が反対しました。
花降銀は、銀量の減少と引換にさらに精錬の度合いを上げた物です。とても花降を名乗れる物ではないと考えたのかもしれません。
一分銀は、昔でいうと1両の1/4の価値がありました。1両とは、時代劇や漫画でよく見る金色の丸い貨幣・小判の1枚あたりの価値です。小判1枚=一分銀4枚ということになります。
わかりやすい例として、そばを挙げてみましょう。
当時は、小判1枚でそばを400杯食べられました。つまり、一分銀を1枚出せば100杯のそばが食べられるのです。
今のかけそばの値段を400円とすると、一分銀1枚の価値は40,000円ほどになります。当時はもちろん、今の時代にとっても大きな金額といえるでしょう。
一分銀は6種類に分けられ、それぞれ買取価格が異なります。
買取価格の幅としては1,000円~100,000円ほどと広めです。貨幣の状態や売るときのインフレ状況などによって変動があるため、一概にはいえません。
次は一分銀の種類とおおよその買取価格について解説します。
一分銀は、始めに天保一分銀、続いて安政一分銀・明治一分銀(貨幣司一分銀)の順に発行されました。
他にも玉座一分銀や別座一分銀など、さまざまな種類があります。
それぞれの特徴や、おおよその買取価格などについて詳しく解説します。
買取価格 | 1,000円~1,500円 |
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天保一分銀は最初に作られた一分銀です。後に作られた一分銀と区別するために、古一分銀とも呼ばれます。
製造時期は1837年~1854年です。
重量は約8.66g、銀の含有量は約98%と、ほとんどが銀でできています。
特徴は、表面と裏面の両方だけでなく側面にも桜の印があることです。
買取価格ですが、天保一分銀は大量に出回っていたため1,000円~と高くありません。
ただ、もし「逆打ち」と呼ばれる表と裏で逆に刻印されているエラーコインであれば、数万円までアップする可能性があります。
損をしないためにも、古銭に強い買取業者に持って行きましょう。
買取価格 | 5,000円~10,000円 |
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庄内一分銀とは、表面に「庄」という文字、裏面に「三つ柏」という家紋を刻んでいる銀貨です。
重さは約8.6g、銀の含有量は約98%と、天保一分銀と同様にほとんどが銀で作られています。
製造期間は1868年の5月~6月と、たったの一ヶ月間でした。
庄内とは、現在の山形県鶴岡市や酒田市周辺を指す地名です。当時、庄内藩は銀の含有量が少ない貨幣や偽造貨幣が流入してくることを嫌っていました。
質が悪い貨幣・偽物貨幣が藩の外から入ってきても気付けるように、天保一分銀に自分たちの印として「庄」を刻んだのが庄内一分銀です。
買取価格ですが、特別な刻印がされている一分銀のため、状態が良ければ数万円で取引されるかもしれません。
買取価格 | 1,000円~50,000円 |
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一分銀の仕様変更を行い、作られたのが安政一分銀です。「古一分銀」と呼ばれる天保一分銀に対し、安政一分銀は「新一分銀」とも呼ばれています。
安政一分銀の製造時期は1859年~1868年までです。
重量は約8.63g、銀の含有量は約87%となっています。
製造時期は元号でいうと安政~慶応にあたります。ちょうど鎖国が解かれて、外国との交流が活発になった時期です。
外国人大使たちは、洋銀から一分銀への両替を求めることが多くなりました。
しかし、日本には銀の含有量がほぼ100%に近い天保一分銀しかなかったため、洋銀と交換するとなると日本が損をしていたのです。
そこで日本は、銀の含有量を下げて洋銀に近づけた安政一分銀を作りました。
安政一分銀は、上下左右の側面に3つずつ刻印が打たれており、側面にヤスリ掛けされているのが特徴です。
買取価格 | 6,000円~50,000円 |
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明治一分銀の製造時期は、1868年~1869年です。江戸幕府が倒れて新しい時代がはじまった時期であり、時代の移り変わりとともに貨幣にも大きな変化が訪れました。
まず、重さは約8.63gで銀の含有量は約80%と、一分銀に比べるとより銀の含有量が少なくなっています。
さらに、明治政府によって銀貨を作っていた「銀座」が差し押さえられました。新たな造幣局の開設が動きはじめたのです。
造幣局ができるまでの間、政府は仮の貨幣を作る機関を作りました。明治一分銀は、そのときに作られた一分銀です。
なお、仮の貨幣を作る機関は、貨幣司(かへいし)という貨幣発行機関であったため、明治一分銀は「貨幣司一分銀」とも呼ばれています。
銀の含有量が大幅に減り、質も低下しているため、買取価格は数千円になるでしょう。ただ、傷や汚れがなければ、万単位の買取も期待できます。
買取価格 | 約15,000円~30,000円 |
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玉座一分銀とは、裏面にある「座」の字に小さな丸が刻まれている物です。小さな丸は「玉」と呼ばれており、鋳型の修正や改造の跡と考えられています。
製造期間は、1859年~1869年です。
重さは約8g、銀の含有量は89%ほどになります。
玉座一分銀には、表面の「分」の「-」の右端が丸くなっていて、1画目が跳ねている物などもあり、文字の形が特殊で珍しいです。
状態によりますが、希少価値が高いことから買取価格は15,000円~30,000円程度となります。
買取価格 | 1,000円~5,000円 |
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別座一分銀とは、幕末に各藩が独自に鋳造した一分銀の偽物のことをいいます。
製造時期は、1868年~1869年です。
重さは約8.6g、銀の含有量は50%以下の物が多く、13.5%の物もあります。
幕末の頃、財政危機に陥った諸藩が、幕府公認の貨幣製造所である本座以外の場所で銀の含有量を低くした一分銀を作りました。
本座以外の場所は「別座」と呼ばれていたため、別座で作られた一分銀を「別座一分銀」と言うようになったのです。
別座一分銀は、本座一分銀と比べて銀の含有量が低く、刻印も粗悪な物が多いです。中には、銀の含有量が50%以下の物もあります。
質が悪いこと・大量に出回ったことから、買取価格も低めです。
一分銀は偽物も多く出回っている古銭のひとつです。
偽物が多い理由は、江戸幕府に隠れて各藩がつくった偽の一分銀である別座一分銀が出回ったことにあります。
偽物の見分け方を知らないと、買い取ったときに気付かず損をするかもしれません。
すでに持っている場合、本物だと信じて保管し続けた結果、偽物だったという事態も避けたいところです。
本物か偽物かを見極めるためには、以下の手段があります。
ひとつずつ詳しく解説していきます。
一分銀の本物・偽物を見分けるなら、デザインに目を向けてみましょう。 ただし、文字の種類はあまりにも多いため、真贋判断は難しいです。
まずは、表面の文字のまわりにある縦線の有無と深さに注目してみてください。縦線がなかったり、彫りが浅かったりする物は、偽物である可能性が高いです。
重さをはかることは、一分銀の真贋を見分ける最も簡単な方法になります。
天保・安政・明治の一分銀は、多少ばらつきはあるもののおおよそ「約8.6g」です。8gを大きく切っていたり、上回っていたりする物は、偽物かもしれません。
側面を見ることも、一分銀の真贋を見極める手段です。
本物の天保一分銀は側面がなめらかで、桜の印が刻まれています。
安政・明治一分銀の場合は、側面にヤスリがけをした後があるか見てみてください。偽物には、桜の印もヤスリがけの跡もありません。
側面に何もない物は、偽物の可能性が高いです。
高価買取の期待できる一分銀には、手変わり品とエラーコインがあります。
それぞれどのようなものなのか、詳しく解説しましょう。
手変わりの一分銀とは、江戸時代に銀座で鋳造された一分銀の中で「一分銀」と刻印された文字の形が異なる物をいいます。
文字の形が異なる一分銀は、銀座の職人たちが文字の形を自由に変えたり、既存の鋳型を修正したりしたために生じました。
手変わりの一分銀には、以下の種類があります。
「ハネ分」は、一分銀の表面にある「分」の1画目が跳ねた物です。
買取価格は、明治一分銀だと約15,000円になります。
「入分」は、「分」の1画目よりも2画目が長くなっている物です。
買取価格は、約15,000円~30,000円になります。
「ハネ銀」は「銀」の1画目と「分」の1画目が跳ねている物です。
買取価格は、約30,000円とされています。
「長柱座」とは、裏面にある「定 銀座 常是」という文字の「座」の縦線が長い物です。
買取価格は、約35,000円になります。
「玉座」は、裏面の「座」の最後の1画に玉がついています。
買取価格は、おおよそ15,000円~30,000円です。
「玉一」は「分」の「-」の右側が丸くなっていて、1画目が跳ねている物です。
買取価格は、おおよそ15,000円~30,000円です。
「手変わり」の一分銀は珍しく、鋳造時期や流通状況など貨幣史の研究に必要な貴重資料です。収集家や研究者から高い評価を受けていることから、高価買取が期待できるでしょう。
貨幣や硬貨の中には、エラーコインと呼ばれる物があります。
エラーコインは鋳造や流通の過程で何らかの不具合が生じた物で、珍しく価値が高い物が多いです。
同じように一分銀にも、以下のエラーコインがあります。
一分銀は裏面に「定 銀座 常是」と刻まれていますが、「定」の字が欠けてしまっているのが「定落」です。鋳型の破損や不良が原因と考えられます。
逆打は、表面と裏面の上下が反対になっている物です。鋳型の裏表を間違えて鋳造したのかもしれません。
逆打はとても希少で、300,000円以上の値段がつくこともあります。
ズレ打とは、刻印が本来の位置よりずれている物です。表面でも裏面でも起こりうるもので、鋳型のズレやずれた銀貨の再鋳造が原因と考えられます。
ズレ打は定落や逆打ほどではありませんが、5,000円~10,000円ぐらいの価値があります。
エラーコインは手変わり品と同様に希少価値が高いことから、収集家や研究者からも注目されている物です。プレミア価格がつく可能性もあります。
一分銀の種類や価値について紹介しました。
一分銀は、製造時期や過程、銀の含有量によってさまざまな特徴や価値があります。収集家や研究者だけでなく一般の人にも人気があり、高価買取が期待できる古銭です。
ただし一分銀は、偽物も多く出回っています。偽物の見分け方がわからないと、損をしてしまうかもしれません。
本物か偽物かを見極めるためには、デザインを見る・重量をはかる・側面を見るという手段があります。
また、一分銀の買取価格は状態によっても変わってくるため、傷・汚れ・サビ・カビなどには要注意です。
なるべく日の光が当たらないような場所に保管し、古銭の変色も防がなくてはなりません。
少しでも高く買い取ってもらうことを考えるなら、保管方法に気を付けるようにしましょう。
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