文政小判(ぶんせいこばん)は、文政2年(1819年)~文政11年(1828年)に発行された小判です。『裏面の端に文政の時代を示す"文"の文字が刻印されている』『その文字の書体が草書体である』という特徴を持ち、特に後者の特徴から『草文小判』とも呼ばれています。
文政小判は既存の小判に比べて軽く、金の含有量も少ないため、天保五両判や慶長小判金に比べると買取価格はかなり低いです。このようなつくりには、幕府が財政を補填するために金の品位を下げ、そこで節約した金を幕府の利益にまわそうとした、という背景があります。
付加価値の高い小判の買取価格は市場価格や在庫状況によって変化する為、最新の価格については『無料査定のお申し込み』や『お電話(0120-9610-66/受付時間10:00~18:00)』からお問い合わせください。
プレミア価値を持つ『大吉』とは?
当時、大判や小判はひとつずつ手作りだったので、完成時には職人がサインを刻印していました。作成した職人の親方と、作成した職人本人の名前を一文字ずつ、小判裏面の左下に刻印します。
親方→職人と地位の高い順に名前を彫るこの習わしですが、ときに親方のサインが『大』、職人のサインが『吉』となることがあります。これは二つあわせて『大吉』と読めるため、当時から縁起が良いと人気でした。
この刻印には現代でも高い価値が認められており、大吉の有無だけで同じ小判でも価格がかなり異なります。
偶然大吉と献上大吉の見分け方
偶然大吉と献上大吉、どちらも『大吉』のサインがありますが、見分けることができます。献上用目的で丁寧につくられた献上大吉は、外枠の触感がなめらかできれいな仕上がりです。
一方、偶然大吉は流通目的の金貨の刻印が、思いがけず大吉になった金貨のため、献上大吉よりも外枠がきれいではありません。
さらに大吉の文字自体も献上大吉のほうがしっかりと打ってあるため、一見して大吉とすぐにわかる外枠がきれいな金貨は、献上大吉の可能性が高いでしょう。
文政小判の種類と価格
文政小判のなかでも特に価値が高いものは『偶然大吉』と『献上判』の2種類です。献上判には後述の理由で『大吉』が彫られているため、このふたつの間に明確な違いはほとんどありません。これらが買取価格においてはツートップといえます。
また文政小判のなかには、大吉も含め『七福(しちふく)』と呼ばれる縁起の良いといわれた刻印があります。
『大吉』『小吉』『堺長』『馬神』『久吉』『守神』『久永』
上記7種のどれかが刻印された文政小判は、それ以外の刻印のものより高価で取引されています。なお文政小判の場合、七福のなかでも『小吉』が希少といわれています。
なお、小判はその希少性から、本物によく似ているレプリカがつくられている場合もあります。レプリカにはプレミア価値がつかないので、素材である金の価格で取引されます。
以下が種類一覧となりますが、記載している価格は状態が非常に良い場合での参考買取価格になります。その点ご留意ください。
文政小判 偶然大吉(ぶんせいこばん ぐうぜんだいきち)
偶然大吉は一般に流通していた文政小判のうち、『大吉』が刻印されたものを指します。裏面左下に彫られた、丸で囲まれた『大』と『吉』の文字で判別できます。
記念品を想定していた献上判と比べ、人の手に触れる機会の多い偶然大吉の小判は、傷やさびなど汚れが目立つ場合が多いでしょう。しかし汚いからといって洗ったり強くこすったりと、汚れを取ろうとすることはおすすめしません。
コレクターのなかには、傷やさびを『流通していた証拠』としてプレミア価値をつける人もいます。加えてコレクターはいくつもの古銭を見ているので、洗浄による不自然な輝きはすぐに見分けをつけることができます。
また洗浄だけでなく、大吉でない小判なのに強引に大吉と直してしまうことも大幅に価値を下げる原因になりますので、できるかぎり『そのままの状態』を意識して保管しましょう。
文政小判 献上判(ぶんせいこばん けんじょうばん)
献上判は一般流通用ではなく、恩賞や贈呈を目的としてつくられた貨幣です。
美しさを意識してつくられているだけでなく、制作者の名前にかかわらず大吉の刻印が刻まれています。
偶然大吉とは刻印だけでなく書体も同じなので、小判を見慣れていないと見分けることは難しいでしょう。
また文政小判の献上判には、他の小判の献上判にはない特徴があります。それは、表面の槌目(つちめ)が異なるものがあり、これによって種類が分かれるという点です。
槌目とは表面に横に引っかいたような傷に似た刻印のことを指します。文政小判の献上判の槌目は2種類あり、線同士の間隔が広い方は荒目打ち、隙間なく細かな線が大量に入っている方は細目打ちと呼ばれています。
なお種類は異なりますが同じ献上判なので、荒目打ちと細目打ちで価格が変わることはありません。
文政小判の買取実績(実例)
2024年3月に『神戸三宮店』にて文政小判をお買い取りしました。上記画像がお買い取りした小判の写真となります。
小判裏面の刻印は『八七』。残念ながらプレミアのつく七福関連の刻印ではなかったため、プレミア価値以外の査定ポイントである『小判の状態』や『素材価値(金相場)』などを考慮した価格をご提示いたしました。
また、上記写真の小判のうしろにある『貨幣鑑定書』は日本貨幣商協同組合が発行した本物の文政小判を証明する書類です。
小判は偽物が出回ることがよくあるため、貨幣鑑定書がない場合ですとお買い取りが難しい場合がございます。今回は貨幣鑑定書付きでのお持ち込みでしたので、その点も加味し最終的に14万円でご成約に至りました。
金相場により買取価格は大きく変動するため、この実例の買取価格はあくまで参考価格です。
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