宝永小判(ほうえいこばん)は宝永7年(1710年)~正徳4年(1714年)に発行された金貨です。
この小判の前には純度が高い大きな『慶長小判』が流通していました。
慶長小判は純度が高いぶん丈夫であったため、損傷が少なく使いやすい小判と庶民に認識されていました。
そんな慶長小判の復活を望む声に応えるかたちで、宝永小判は発行されましたが、金の採掘量が少ない時期だったため、慶長小判の半分以下の重さでしかつくることができませんでした。
裏面に乾の文字が刻印されていることから、『乾字小判(けんじこばん)』とも呼ばれます。
表面は畳のように横線が等間隔に複数引かれた見た目です。そして上下に扇の中に桐が描かれた紋が彫られています。
裏面は右上に『乾』や『佐』の文字、左下には丸の中に職人の名前の漢字がサインとして刻まれています。
付加価値の高い小判の買取価格は市場価格や在庫状況によって変化する為、最新の価格については『無料査定のお申し込み』や『お電話(0120-9610-66/受付時間10:00~18:00)』からお問い合わせください。
プレミア価値を持つ『大吉』とは?
当時、判金はひとつずつ手作りだったので、完成時には職人がサインを刻印していました。作成した職人の親方と、作成した職人本人の名前を一文字ずつ、小判裏面の左下に刻印します。
親方→職人と地位の高い順に名前を彫るこの習わしですが、親方のサインが『大』、職人のサインが『吉』となることがあります。二つあわせて『大吉』と読めるため、当時から縁起が良いと人気でした。
この刻印には現代でも高い価値が認められており、大吉の有無だけで同じ小判でも価格がかなり異なります。
偶然大吉と献上大吉の見分け方
偶然大吉と献上大吉、どちらも『大吉』のサインがありますが、見分けることができます。献上用目的で丁寧につくられた献上大吉は、外枠の触感がなめらかできれいな仕上がりです。
一方、偶然大吉は流通目的の金貨の刻印が、思いがけず大吉になった金貨のため、献上大吉よりも外枠がきれいではありません。
さらに大吉の文字自体も献上大吉のほうがしっかりと打ってあるため、一見して大吉とすぐにわかる外枠がきれいな金貨は、献上大吉の可能性が高いでしょう。
宝永小判の種類と価格
宝永小判は希少性が高い小判ですが、それ以上に『裏面の刻印』によって価格が分かれます。
珍しい刻印であれば、希少性と合わせてプレミア価格が上がる可能性があります。刻印の確認ポイントは裏面の右上と左下です。
右上の文字でプレミアがつく種類は2つ、『乾』と『佐』です。
左下の刻印でプレミアがつくのは『大吉』のみです。
以下が種類一覧となりますが、記載している価格は状態が非常に良い場合での参考買取価格になります。その点ご留意ください。
宝永小判 偶然大吉(ほうえいこばん ぐうぜんだいきち)
大判小判の多くは『大吉』の刻印の有無で価値に差がつきます。
宝永小判も例にもれず、大吉刻印でない小判と大吉があるものとでは、倍近い価格の差がつく場合もあります。
現代でよく見る楷書体とは異なり、個性的な筆記体で刻印されているため、見慣れない人からすると文字が読みにくいこともあるかもしれません。
しかしそういった場合でも、専門店で見てもらうことで刻印だけでなく状態による価格も知ることができます。かなり状態が良いと400万円の価格がつくこともあります。
宝永小判 佐渡小判(ほうえいこばん さどこばん)
宝永小判のなかでもっとも希少な刻印は『佐』です。
この刻印はじつは佐渡の頭文字から来ており、佐渡の金座でつくられ、そのことを示すために佐と刻印されました。
佐渡小判は江戸の鋳造場(金座)でつくられていないため、発行枚数が少ないことも特徴の一つです。
また裏面の左下に大吉があるものは現在まで確認されておらず、『又』、『宝』、『神』、『当』の4種類のみです。
市場にもほとんど出回らないことから幻の宝永小判とも評され、基準の価格が定められていないほどです。
もし見つけることができたらおそらく偶然大吉よりも高額であると考えられますが、価格の予測すら現段階では難しい種類です。
違いを見分ける際に、文字の特徴や表の細かな見た目ではなく、裏面の『佐』の文字だけを確認するだけなので、簡単に見分けられる点は非常に嬉しいポイントです。
宝永小判の買取実績(実例)
2024年5月に『横浜店』にて宝永小判をお買取りしました。上記画像がお買取りした小判の写真です。
小判裏面の右上の刻印が『乾』でしたので、高額買取が期待できる宝永小判だと判断。
しかし小判裏面の左下の刻印はプレミア価値の高い『大吉』ではなかったため、通常の宝永小判としてのプレミア価値と素材価値・小判の状態などを加味して査定させていただきました。
ポイントとなったのは『貨幣鑑定書』がなかった点です。貨幣鑑定書とは、日本貨幣商協同組合が発行する鑑定書のことで、見識のある鑑定委員が真贋し真正品と判断された時に発行されるものです。
小判は偽物が出回りやすいため、貨幣鑑定書がないとお買取りが難しい場合がございます。買取店によっては無条件でお買取りをしないケースもあるとお聞きしております。
このポイントも考慮しまして、最終的に40万円にてお買取りさせていただきました。
この実例の買取価格はあくまで参考価格です。素材である金の価格により買取価格は大きく変動する上、今回のように付属品の有無などにも価格が大きく左右されます。
最新の価格については『無料査定のお申し込み』や『お電話(0120-9610-66/受付時間10:00~18:00)』からお問い合わせください。