天保小判(てんぽうこばん)は天保8年(1837年)~安政5年(1858年)に発行されました。当時この小判は一両小判として流通していました。
江戸時代にはさまざまな大判小判がつくられていますが、時代が新しくになるにしたがい、品位が下がる傾向がありました。
天保小判もまた、前年につくられた慶長小判や宝永小判より金の純度が低い小判です。
しかしこの時代は上記の小判より鋳造技術が発達しており、純度が低いにも関わらず、見た目で判断がつきにくいほど金の輝きが美しい状態でつくられています。
表面はほかの小判同様、畳の模様のように多数の線が横に引かれています。
裏面は右上に天保につくられた小判の証として『保』の字が刻まれています。保の字が刻まれているという特徴から天保小判は『保字小判』とも呼ばれています。
付加価値の高い小判の買取価格は市場価格や在庫状況によって変化する為、最新の価格については『無料査定のお申し込み』や『お電話(0120-9610-66/受付時間10:00~18:00)』からお問い合わせください。
プレミア価値を持つ『大吉』とは?
当時、判金はひとつずつ手作りだったので、完成時には職人がサインを刻印していました。作成した職人の親方と、作成した職人本人の名前を一文字ずつ、小判裏面の左下に刻印します。
親方→職人と地位の高い順に名前を彫るこの習わしですが、親方のサインが『大』、職人のサインが『吉』となることがあります。二つあわせて『大吉』と読めるため、当時から縁起が良いと人気でした。
この刻印には現代でも高い価値が認められており、大吉の有無だけで同じ小判でも価格がかなり異なります。
偶然大吉と献上大吉の見分け方
偶然大吉と献上大吉、どちらも『大吉』のサインがありますが、見分けることができます。献上用目的で丁寧につくられた献上大吉は、外枠の触感がなめらかできれいな仕上がりです。
一方、偶然大吉は流通目的の金貨の刻印が、思いがけず大吉になった金貨のため、献上大吉よりも外枠がきれいではありません。
さらに大吉の文字自体も献上大吉のほうがしっかりと打ってあるため、一見して大吉とすぐにわかる外枠がきれいな金貨は、献上大吉の可能性が高いでしょう。
天保小判の種類と価格
天保といえば『天保の大飢饉』を思い浮かべる人が多いかもしれません。この小判は大飢饉の後の経済を回復させるためにつくられたという説もあります。
しかしその思惑の一方で天保小判の金の純度は低く、金の重さが貨幣の価値となる江戸時代において、天保小判は価値が低い小判として扱われていました。
金地金としての価値は現代でもそれほど高くはありませんが、希少な小判であるためプレミアがつき、金地金で計算した時より高価になる可能性が高いです。
献上判や偶然大吉などのさらに高いプレミアがつく存在が複数確認されているため、純度が低い点はあまり気にせず、まずは買取店へ持ち込んで価値を確認してみても良いかもしれません。
以下が種類一覧となりますが、記載している価格は状態が非常に良い場合での参考買取価格になります。その点ご留意ください。
天保小判 偶然大吉(てんぽうこばん ぐうぜんだいきち)
偶然大吉とは、裏面の左下にある刻印が偶然『大吉』だった小判のことを指します。同じ大吉表記の献上判と比べると、広く流通していたため傷や汚れが多い傾向にあります。
ものによっては大吉表記でない天保小判よりも汚れが目立つものもあるかもしれません。しかしそのような状態でもプレミアはつきます。
きれいな状態のものよりは価格が落ちるかもしれませんが、それでも普通品の天保小判の約2倍の値がついたこともあるため、もし大吉表記があるのなら、高額を期待しても良いでしょう。
その際は品質を気にせずどのくらいのプレミアがつくのか、見てもらうことをおすすめします。
天保小判 献上大吉(てんぽうこばん けんじょうだいきち)
献上判とは当時流通していた小判を、幕府に献上するためだけに、特別につくられた品質が高い小判のことを指します。
天保小判もまた、庶民へ流通していたものだけでなく、地位の高い人物に記念品として渡す用途としてつくられたという記録が残されています。
貨幣として使うことを目的としていないので、1枚ずつ丁寧に仕上げられているだけでなく、意図的に『大吉』の刻印がされています。
偶然大吉と比べると、高品質のまま現代まで残されているため、それぞれの見分けはつきやすいといえるでしょう。
しかしながら発行数が非常に少ないため、市場にあまり出回ることはありません。
そのぶん品質とプレミアの両方に高い価値があると認められているので、普通品よりもかなりの高額が期待できます。
元々の丁寧なつくりとあわせ、現代まで厳重に保管されていた天保小判の献上判は、100万円以上の価値になることもあります。
天保小判の買取実績(実例)
2024年8月に『渋谷店』にて天保小判をお買い取りしました。上記画像がお買い取りした小判の写真となります。
今回お持ち込みいただいたものは、保存状態が良好な部類にあたります。
裏に刻まれたのは「堺東」の印。偶然大吉や献上大吉といった、飛び抜けてプレミアがつくものではありませんが、とても美しい状態で現存していました。
それらも含めて総合的に査定させていただいた結果、今回は参考価格以上の18万円でのお取引を実現させていただきました!
同時にお持ち込みいただいた傷あり天保小判は12万6,000円でのお買取となったのですが、こちらとの差も考えると状態の良さや希少性がよりよくわかりますね。
なお、小判と一緒に映っている『貨幣鑑定書』は、日本貨幣商協同組合が発行している本物の証明です。今回はこれもお持ち込みいただいたお陰で、よりスムーズな買取が行えました。
金貨や古銭、小判などをお持ち込みの際は、ぜひ鑑定書も一緒にお持ち込みくださいね。
査定価格や買取価格は、品物の状態や金相場によって変動します。今回の実績やページ上部の買取価格は参考程度にお考えください。
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売る気がなくても大歓迎。査定スタッフがお品物の状態をしっかり確認し、お客様に合わせてご相談させていただきます!