文政豆板銀(ぶんせいまめいたぎん)は文政3年(1820年)~天保8年(1837年)に発行されました。2センチメートルほどの大きさの丸い銀に、文字や絵が刻印されています。
大判や寛永通宝のような当時の貨幣とは異なるつくりをしていますが、貨幣として流通していました。
しかし同時期に流通していた一分銀や一分判金のように額面は決められていないため、おもに量りを用いて重さで両替してから使われていました。
貨幣にも関わらず多様なデザインが存在しており、芸術品としての価値も認められているほどです。
コレクターでなくても見て楽しめるデザインは、豆板銀特有の魅力といえるでしょう。
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文政豆板銀の種類と価格
豆板銀は独特なデザインの文字や模様が刻印されていますが、両替を前提とした流通により、表や裏の刻印がすり減っているものが多いです。
文字や模様は豆板銀のプレミア価格に直結するため、それらがきれいに保たれているほど価格は高くなります。
しかし希少性が認められている種類によっては、品質が低くても高額で取引されることもあります。
手元に豆板銀があるなら、まずは絵柄の凹凸がはっきりしているか確認してから、珍しい種類か調べると良いでしょう。
以下が種類一覧となりますが、記載している価格は状態が非常に良い場合での参考買取価格になります。その点ご留意ください。
文政豆板銀 露銀(ぶんせいまめいたぎん つゆぎん)
露銀と呼ばれる豆板銀は非常に小さいことが特徴です。
豆板銀の多くは2センチメートルほどの大きさで、3グラムや10グラムの重さでつくられています。しかし露銀に分類される豆板銀は1グラム以下です。
大きさや重さの規定はありませんが、ものによっては約0.1グラムの虫眼鏡で確認しないと文字が判別できないような小さい露銀も存在します。
地銀としての価格は低いですが、希少性が認められているので、地銀よりも高価なプレミア価格で取引されることもあります。
文政豆板銀 片面大黒(ぶんせいまめいたぎん かためんだいこく)
豆板銀のなかでも、大黒天が刻印されているものはコレクターの人気が高いです。
片面大黒はその名の通り、片面だけに大黒天が彫られている豆板銀です。
記号の集合体のような絵に見えますが、正面を向いている大黒天の腹部に『文』の文字が組み込まれています。この文の書体が草書体であるため、『草文大黒』とも呼ばれています。
大黒天の特徴である小づちと大きな袋、そして足元にある米俵が小さな豆板銀のなかにしっかりと表現されており、全体的に丸みを帯びた刻印は可愛らしい印象を与えます。
文政豆板銀 両面大黒(ぶんせいまめいたぎん りょうめんだいこく)
コレクターから人気の高い大黒天の刻印が両面に彫られたものが両面大黒です。なぜ片面と両面の刻印が存在しているのかは、現在でも解明されていません。
しかし時代が進み、現代ではより珍しい両面大黒のほうが希少価値が高く、プレミア価格も高いです。
約4万円の値がついたこともある片面大黒に比べ、両面大黒は倍以上の15万円の値がつけられたこともあります。
けれども高額なプレミア価格は、大黒天の全体が認識でき、欠けていないきれいな円形の豆板銀であることが最低条件です。
人の手になるべく触れられていないほうがきれいですが、貨幣として流通していた豆板銀では難しい条件といえます。
文政豆板銀 群文(ぶんせいまめいたぎん ぐんぶん)
群文とは等間隔に『文』の文字が彫られている模様の豆板銀です。文の文字が群れているように集合していることから名付けられた豆板銀で、大変希少な種類です。
そのなかでも群文ではない面に大黒天がほられた豆板銀が存在しますが、これはさらに珍しく、希少性から群文より高値がつけられる傾向が多いといえます。
しかし群文だけの豆板銀でも希少価値があるといわれており、30万円の値がつけられたケースもあります。
文政豆板銀 大字文(ぶんせいまめいたぎん だいじぶん)
大字文とは豆板銀に大きく『文』の文字が彫られた状態のことを指します。
大黒天や群文のように特殊なデザインではなく、シンプルに一文字だけが彫られていますが、存在感のある書体は勢いがあり印象的です。
また同じ『文』の文字が使われている元文時代の豆板銀よりも、文字が太く癖のある払いが特徴的です。
文の文字の右下に点が打たれていますが、これは意図的に彫られたので、元文時代の豆板銀と見分ける大きな特徴の1つといえるでしょう。
価格は群文よりも高い40万円の値がついたこともあります。
文政豆板銀 大字寶(ぶんせいまめいたぎん だいじほう)
大字寶は大字文と同じく中央に大きな『寶』の字が彫られている豆板銀のことを指します。こちらも群文にあったように、片面に大黒天が彫られているものが存在しています。
両面に刻印があるだけでなくそれぞれの絵柄が別である豆板銀は大変希少です。
寶は文の文字よりも複雑で大きいため、文字の全体が読めるほどきれいな状態のものを見つけることは非常に困難です。
上記の理由からコレクターからもコレクションがしにくい古銭と認識されており、コレクターの需要を元にしたプレミア価格は低いといわれています。
しかし希少性などの理由により約30万円の値がついたケースもあるため、大字寶であるなら低品質でも高い売却益を期待できるでしょう。