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コモディティ投資とは何か?代表例とメリット・デメリットを解説

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近年、投資関連のニュースやレポートでは、頻繁に「コモディティ投資」という用語が使われます。
コモディティ投資とは、金や原油、農産物などの実物資産への投資を指し、世界経済を分析する上でも欠かせない要素です。
本記事では、コモディティ投資の基礎知識から、メリット・デメリット、代表的な投資対象を解説しています。

1. コモディティ投資とは?

「コモディティ投資」を分かりやすく説明すると、貴金属、エネルギー資源、そして農産物などの実物資産に対して投資を行うことです。
一般的な投資には、株式投資や債券投資といった伝統的な選択肢がありますが、これらは基本的に実体のない金融商品と言えます。

一方、コモディティ投資では、実物資産を対象にするため、その価値が具体的な物に裏付けられている点が特徴です。
そして、コモディティ投資はインフレに強い特性を持つため、自然災害や紛争といった有事において他の資産の価値が下がる中でも、コモディティは価格が上昇しやすい傾向があります。

近年では、2019年末から広がった新型コロナウイルスの影響により、さまざまなコモディティへの関心が高まりました。

■ コモディティの語源とは?

「コモディティ(Commodity)」は、ラテン語の”commoditas”(適合性、利便性、優位性)から派生したもので、フランス語の”commodite”(快適さ、利便性)から由来し、15世紀に英語で使われはじめました。
英語では「商品」や「日用品」を意味しますが、日本では投資や市場価値に関連付けて使われることが多いです。

投資以外では、ある製品やサービスが市場において差別化が難しくなり、同じカテゴリーの他の商品と同等に見られるようになる現象を「コモディティ化」と呼んでいます。

そのため、ビジネス用語では、「一般化」という意味で使用されることもあります。
コモディティ化は、技術の進歩、標準化、製品間の機能や性能の差が縮小することが原因で、企業に価格競争を引き起こし、さまざまな悪循環の原因となる可能性のある現象です。

■ 投資における『コモディティ』の意味

投資におけるコモディティは、商品先物取引所などで取引される商品を指し、一般的な金融市場とは異なる価格形成をしています。
たとえば、株式や債券、為替は、社会経済や金融政策の影響を受けて変動しますが、コモディティは主に個別商品の需給バランスによって価格が動きます。
したがって、株価が上昇したからといって、コモディティの価格が上がるとは限りません。

コモディティへの投資方法には、現物や商品先物市場で運用される商品ファンドが以前からありました。
近年では、商品指数に連動する債券も登場しています。

これは、債券の償還時の価額が、特定のコモディティの価格指数に応じて変動する仕組みを持つものです。
つまり、コモディティの価格が上がると債券の価値も上昇するため、コモディティ価格の変動に対する投資手段として注目されています。
また、CFD(差金決済取引)や、ETF(上場投資信託)を通じた投資、さらには金のオプション取引が可能な商品など、リスクを抑えた方法が増えており、コモディティ投資がより身近になりました。

■ コモディティ投資の始め方

簡単にコモディティ投資をするには、金やプラチナなどの貴金属を現物で保有する方法があります。
まとまった資金がある方は、金貨や金地金(バー)を購入して現物で保有する方法が適しており、一方、少額での投資を考えている方には、純金やプラチナの積み立てが適しています。
また、コモディティに連動する金融商品への投資方法もあり、初心者には少額から積み立てられる投資信託やETFがおすすめです。

ほかにも、商品先物市場でコモディティの将来の価格を予測して取引する「先物取引」もありますが、これは専門的な知識が必要で、ハイリスクな投資手法とされています。

少ない資金で利益を増やしたい場合、「商品先物」や「CFD(差金決済取引)」を利用する方法もあります。
これらは、比較的少ない自己資金で大きな取引ができるレバレッジ取引であり、価格が上がるときだけでなく、安いときにも売りから参入できるのが特徴です。
ただし、失敗した場合自己資金以上の損失を被る可能性があるため、慣れていない方は注意しなければいけません。

2. コモディティ投資 : 代表的な投資対象5選

コモディティ投資の対象は、非鉄金属、エネルギー資源、農産物、天然ゴムなどの現物資産です。
また、コモディティは「ハードコモディティ」と「ソフトコモディティ」の2種類に分類されます。

ハードコモディティとは、金や石油、ゴムなど、採掘や抽出を必要とする天然資源です。
一方、ソフトコモディティは、トウモロコシ小麦やコーヒー、砂糖、大豆、豚肉などの農産物や家畜が含まれます。

■ 貴金属(金・銀・プラチナなど)

貴金属へのコモディティ投資は、金、プラチナ、銀などを対象とし、主にインフレ対策や資産保全の手段として人気です。
特に金は、長期的に安定した価値を持つ現物資産として多くの投資家から注目されている現物資産です。

預貯金や株式、債券が発行元の信用や業績に依存して価値が変動するのに対し、金はその物自体に価値があるため、経済が不安定な時期でも安全資産とされています。

次に、プラチナは、金や銀のように古くから通貨としては使用されていませんでしたが、一方で、金と比べて生産量が少なく、非常に希少価値の高い貴金属です。
これまで基本的に金より高い価格で取引されてきましたが、近年ではその価格が下がり、国内では金価格を下回る傾向にあります。

プラチナはジュエリーの素材としてよく知られていますが、実際には宝飾品の需要は全体の約3割にとどまり、約6割が工業用途に使われています。
特にディーゼル車の排ガス触媒(有害物質を無害化する装置)としての需要が最も多いです。
そのため、プラチナの相場は自動車の販売状況や世界経済の動向に大きく左右されます。

また、銀は金に比べて価格が手頃であり、一部の海外投資家の間で人気があります。
小口投資がしやすいため、銀の値動きは金に似ていますが、市場規模が小さいことから、金よりも値動きが大きくなることが特徴です。

■ エネルギー(原油、天然ガスなど)

原油や天然ガスなどのエネルギー投資は、エネルギー資源の価格変動に基づく投資手法であり、特にインフレや地政学的リスクへのヘッジ手段として注目されています。

たとえば、WTI原油は米国市場における代表的な原油取引指標であり、北海原油はヨーロッパ市場を代表します。
また、NYヒーティングオイル、NY無鉛ガソリン、NY天然ガスといった商品は、ニューヨークを中心に取引される主要なエネルギー商品です。

エネルギー関連商品の価格は、農作物と同様に需要と供給のバランスによって変動しますが、特にエネルギー資源は中東地域の国際情勢の動向から大きな影響を受けやすいという特徴があります。
さらに、生産状況やOPECでの減産合意、または米国のシェールオイルやシェールガスの生産状況も、エネルギー価格に影響を及ぼす要因です。

■ 工業用金属(銅・アルミニウムなど)

銅やアルミニウムなどの産業用金属は、生産量や流通量の変化に伴って価格が変動します。
工業用金属の中で最も軽量なアルミニウムは、熱と電気の伝導率が非常に高く、加工がしやすいため、使い勝手が良いのが特徴です。
特に光と熱の反射率が良いため、照明器具や暖房器具の反射板として広く使用されています。

一方、銅は「ドクター・カッパー」と呼ばれ、景気の変化を診断する材料とされています。
その理由は、銅が工業、医療、船舶、建築など多岐にわたる分野で広く利用されているためです。

経済が成長すると銅の使用量が増加し、需要が高まるため、銅の価格は世界経済を予測する上で重要な指標となります。
2024年4月には、銅を含む非鉄金属の価格の国際的な指標であるロンドン金属取引所(LME)の3か月先物価格が、1トンあたり1万ドルの高値を記録しました。

このように、銅は投資手段としても有効であると言えるでしょう。

■ 農作物(小麦、大豆、トウモロコシなど)

農産物には、小麦、トウモロコシ、大豆、小豆、米、コーヒー、砂糖、ゴムなどがあり、ソフトコモディティに分類されます。

農産物へのコモディティ投資は、近年世界的な人口増加による食料需要の増加や国内の食料自給率向上を目指す動きに加え、日本政府の支援によって注目されるようになりました。

農産物投資のメリットは、長期的な投資対象としての見込みや持続的な収益の期待、食料の安定供給への貢献、さらには環境保護への寄与が挙げられます。
一方で、天候や気候の変動など、予測困難なリスクが伴います。

■ 畜産物(牛、豚など)

畜産物投資は、肉類や乳製品などを対象とした投資で、需要と供給のバランスに大きく左右されるのが特徴です。
代表的な畜産物には飼育牛、生牛、赤身豚肉などが含まれ、日常的な食生活で広く消費されるため、一般的には安定していると考えられています。

しかし、飼料価格の変動や鳥インフルエンザ、狂牛病などの疾病が流行した場合には、需給バランスが崩れ、価格が大きく変動する可能性があるため注意が必要です。

3. コモディティ投資のメリット・デメリット

コモディティ投資は、債券や株式などの伝統的な金融資産とは異なる動きをするため、分散投資効果が期待でき、オルタナティブ資産(代替資産)としての投資対象としても市場は拡大しています。

コモディティ投資を始める前に、コモディティ投資のメリット・デメリットを理解しておきましょう。

■ コモディティ投資のメリット

コモディティ投資のメリットは主に3つあります。

(1) 分散投資効果
コモディティ投資は、分散投資において非常に効果的です。
特に金は「有事の金」として知られ、多くの投資家にとって安全資産と位置づけられています。

戦争や災害などの混乱が生じると、一般的に株式や債券が売られる一方で、金は買われる傾向があります。
これは、コモディティは株式や債券とは異なる値動きをするため、資産に組み込むことで分散投資の効果を得られるからです。
この特性により、投資ポートフォリオに金を組み入れることで、リスクを軽減し、資産の安定性を高めることが可能です。

(2) インフレヘッジ
コモディティは実物資産であるため、インフレが進行して物価が上昇すると、その価格も上がり、資産価値が高まります。
一方で、インフレが進むと物価水準が上がり、金銭の価値は低下するのが一般的です。

このため、現金のみで資産を保有していると、インフレの影響で貨幣の価値が下がり、資産が目減りしてしまいます。
しかし、コモディティはインフレ時に価値が上昇するため、インフレヘッジとして効果的だと言えるでしょう。

(3) 供給不足による価格上昇
コモディティは生活必需品や産業資材として広く利用されているため、需要は比較的安定しているのが特徴です。
しかし、供給が不足すると需要に対して供給が追いつかなくなり、市場の在庫が減少し、在庫が減ることで価格は上昇します。
さらに、供給不足が報じられると、投資家は先物取引や現物購入を増やし、さらなる価格上昇の可能性もあるのです。

■ コモディティ投資のデメリット

ここでは、コモディティ投資のデメリットを3つご紹介します。

(1) 為替リスク
コモディティは外貨建ての金融商品であるため、為替変動のリスクを避けることはできません。
たとえば、ドル建てで取引されるNY金のコモディティでは、ドル高円安の場合、国内における金の価格は上昇しますが、逆にドル安円高の場合は価格が下落します。
一般的に、円高の場合は評価額が下がり、円安の場合は評価額が上がると考えられます。

(2) 専門知識が必要
コモディティ市場は非常に複雑で、市場動向、需給バランス、地政学的リスク、気象条件、経済指標など、さまざまな要因を理解し、分析しなければいけません。
さらに、投資方法には先物取引やオプション取引など、複雑な金融商品が含まれます。
これらを理解し、適切に活用するには、高度な専門知識が必要です。

(3) インカムゲインがない
インカムゲインとは、資産を保有することで得られる利益のことを指します。
具体的には、株式の配当金や不動産からの家賃収入、債券や預金の利息などがインカムゲインです。

一方、コモディティ投資は実物資産への投資であるため、保有していても利益が生まれず、配当金のようなインカムゲインは発生しません。
また、現物コモディティに投資する場合、物理的なスペースやセキュリティを確保するための保管コストがかかります。
そのため、現物コモディティに投資する際には、保管コストをしっかりと見積もることが重要です。

4. コモディ投資で資産運用の幅を広げよう!

コモディティ投資は、株式や為替、債券とは異なる要因で価格が変動する特性があります。
コモディティの強みは、不景気や金利動向に影響されにくく、特にインフレに対して効果的な点です。

また、リスク資産が多い場合でも、有事の際に金を保有することで分散投資の効果を得ることができます。
コモディティ投資方法は複数存在するため、自分の投資目的やリスク許容度に合った手法を選ぶことが重要です。

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