金のアクセサリーや金貨が錆びる理由とは 錆びないためにできることも解説
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美しさや価値の高さから愛される、アクセサリーや金貨。
それに使われる金は錆びないといわれますが、一方で実際には金製品が錆びているところを見たことがある方もいるのではないでしょうか。
金の錆びは、実は金に含まれるほかの金属が酸化しているのです。
本記事では、金のアクセサリーや金貨が錆びる理由と、錆びるのを防ぐ方法についてくわしく解説します。
正しいケアを行い、金製品を長持ちさせましょう。
1. なぜ金は錆びるのか
金は耐食性が高く、錆びにくいです。
ただし、割金(わりがね)が入っていることが原因で、錆びや変色が発生することがあります。
割金とは、金やプラチナなど、ある特定の金属に混ぜるほかの金属のことです。
割金には、主に銀・銅・パラジウム・ニッケル・亜鉛などが使われています。
どれも空気中の酸素、汗や皮脂に加え、洗剤や洗髪剤などの化学薬品などに反応しやすいため、腐食が進んでしまうのです。
金自体は耐食性が高くとも、混ぜ物になっている金属が多い金ほど、腐食して錆びやすくなっています。
■ 入浴や海水による錆
金を劣化させるのは、濃い塩酸と硝酸から作られた「王水」です。
海水や温泉の湯に王水は含まれていないため、もし金が濡れてしまっても劣化しません。
ただし、合金の場合は入浴や海水によって腐食することもあります。
たとえば合金は、シャンプーに含まれる硫化ナトリウムなどに反応しやすいです。
反応すると、錆びが発生してしまいます。
また、海水やプールの塩素も、合金であれば影響を与えることがあります。
■ 汗や皮脂による酸化
金のアクセサリーや指輪は汗や皮脂によって酸化し、少しずつ錆びていきます。
正確にいうと、「合金」のアクセサリーは錆びていきやすいです。
合金は汗や皮脂に弱いです。
さらにつける頻度が多いとなれば、どうしても腐食してしまいます。
それなら錆びない金のアクセサリーを購入すればいいのですが、値段の高さはもちろん数も多くないことから、すぐ手に入れられる物ではありません。
ジュエリーとして使われるほとんどのアクセサリーは、金ではなく割金を混ぜた合金で作られています。
金は、純度が100%に近いほど柔らかい性質を持っています。
アクセサリーには、細かい装飾や簡単には外れない強度が必要です。
柔らかいと装飾がつけられず、強度も高められないため、金はアクセサリーに向きません。
ほかの金属と混ぜて強度を高め、装飾をつけてデザイン性を高めたり傷つきにくくしたりしているため、アクセサリーには合金が多いのです。
金の純度が100%より遠く、かつ使用頻度も少なければ大きく変色しません。
2. 金は錆びない貴金属?
金が錆びない理由は、金が持つ化学的性質によるものです。
金は、ほかの物質と反応しにくい特性を持っています。
特に、空気中の酸素や水分との反応が起こりにくいため、通常の環境下では酸化しません。
金は腐食や錆びに対して非常に強い抵抗力を持っています。
さらに、金の電子構造が安定しており、正の電荷を持つ陽イオンになりにくいことも錆びない理由のひとつです。
錆びは、金属が陽イオン化し、酸化することで起きます。
しかし、金は陽イオンになりにくい性質であり酸化しないため、錆びにくいのです。
■ 純度が高いほど錆びない?
前述の通り、金は純度が高いほど錆びにくいです。
金の純度は、通常カラット(K)または百分率(%)で表され、純度が高いほど金の含有量が多くなります。
日本では、「14カラットの金」「24カラットの金」などを略して「14金」「24金」と呼んでいます。
一般的なカラットの種類は以下のとおりです。
上から純度の高い順で記載しています。
・K24
・K22
・K18
・K14
・K10
カラットは金の純度を24分率で表しており、K24は「純金」です。
お伝えしているとおり、純金は酸素や水分と反応しにくい特性を持っているため、通常の環境下では酸化や腐食がほとんど起こりません。
K22から下は「合金」です。
純度が下がるほど、銀・銅・ニッケルなどほかの金属成分が増えるため、合金部分が酸化や腐食を引き起こしやすくなります。
■ 金以外にも錆びにくい貴金属
金以外にも、いくつかの貴金属は錆びにくい特性を持っています。
代表的な物は、プラチナ・銀・パラジウム・ロジウムなどです。
プラチナは、非常に高い耐腐食性を持つ金属です。
空気中の酸素や水分、または塩分などと反応しにくいため、錆びることがほとんどありません。
錆びにくい特性を持っていることから、高級なジュエリーや工業用途、触媒として広く使用されています。
銀は、プラチナほどではないものの耐食性が高く、錆びにくい性質をもった金属です。
銀のアクセサリーも、黒ずむことはあります。
しかし、銀が黒くなるのは錆びているからではありません。
銀の黒ずみは、酸化ではなく「硫化」です。
硫化とは、空気中の硫化水素や温泉にある硫黄、皮脂などが銀にくっつき、表面に硫化銀が発生することです。
銀が硫化すると、黒くなってしまいます。
パラジウムも非常に錆びにくい金属です。
酸やアルカリにも耐性があり、酸化されにくいため装飾品や工業用途で重宝されています。
また、プラチナと似た性質を持つため、プラチナ合金の代替品として利用されることがある点も特徴です。
ロジウムも錆びにくい金属のひとつで、酸化しにくい特性を持っています。
特にジュエリーのメッキとして使用され、金属表面を保護し、輝きを増す役割を果たしています。
3. お手入れで金の質を長く保つ
金は錆びないものの、合金であれば汗や皮脂に含まれる成分によって酸化しやすく、変色や錆びの原因となることがあります。
少しでも高い質を保ったまま使いたい場合は、以下のようなお手入れをすることが大事です。
・錆びた部分をきちんと拭く
・できるだけ錆びる要因を避ける
くわしく解説します。
(1) 錆びた部分をきちんと拭く
ネックレスや指輪など身につける金製品は、使用後クロスで拭きましょう。
汗や皮脂などが付着しているため、汚れを取り除くことで錆を防げます。
もちろん、すでに錆びた部分でもきちんと拭きます。
クロスは、研磨剤入りだと傷をつけてしまうだけでなく、傷から汚れが入っていく可能性があるためおすすめできません。
極細繊維で作られたマイクロファイバークロスや、ジュエリー専用のクロスが最適です。
拭くのが手間に感じたり、大変だったりする場合は、金のアクセサリーを扱っているお店に持って行ってお手入れをしてもらいましょう。
自分できちんと拭いていても、手が届いていない部分があるかもしれません。
なるべく綺麗な状態で長く使いたいと考えるなら、専門店を使うのもひとつの手です。
(2) できるだけ錆びる要因を避ける
金のアクセサリーや指輪などを長持ちさせるなら、できるだけ錆びる要因を避けながら使いましょう。
まず保存するときは、乾燥している場所に、1か所にまとめてではなく個別に保存します。
空気に触れないよう密閉することでアクセサリーの酸化を防げるため、美しさを保つことが可能です。
また、入浴・海水浴・料理などのときは外してください。
温泉は硫黄が含まれていることもあるため、特に銀を使用している合金だと硫化して黒ずみができてしまいます。
海も塩水のため、合金だとほかの金属と反応して錆びや酸化の原因になってしまうので外しましょう。
塩素などが含まれているプールも同様です。
料理中は、高温の火を長く使ったり、油がはねたりすることもあります。
アクセサリーが傷んでしまう可能性があるため外しましょう。
指輪の場合、つけたまま料理をしている人も多いですが、食材や料理がついたり、水に触れたりしたまま放置すると錆びや酸化につながります。
なるべく外しておきましょう。
4. 資産として長く金を残すなら金貨やインゴット
今、金貨は資産価値を高める選択肢として注目されています。
金貨は、美術品としての価値もあり、コレクターアイテムとしても人気です。
国際的に認知された金貨、たとえばアメリカン・イーグルやメイプルリーフ、クルーガーランドなどは、その純度と重量が保証されているため、売買が容易です。
さらに、金貨は小分けにしやすく、必要なときに一部を簡単に現金化もできます。
また、金と同様に資産価値を高める選択肢として人気なのが、インゴットです。
インゴットとは簡単に言うと「金属の塊」で、精製した金属を加工したり溶かしたりして、利用しやすい大きさにしています。
似たような物として「金の延べ棒」があります。
金の延べ棒も純金の塊であるため、インゴットとほぼ同じ意味です。
ただ、前述したとおりインゴットは「金属の塊」であるため、金以外の物でも当てはまります。
プラチナや銀、パラジウムといった金属のインゴットも存在するのです。
インゴットは、金貨と比べて加工コストが低いです。
溶かした金を型に流し込み、冷却して成形するだけのため、大規模な生産が可能であることから、単位当たりの製造コストが低く抑えられます。
加工コストが高いと物自体にも上乗せされて売られますが、加工コストが低ければ上乗せされる額も少ないため、購入者は余計な費用を支払う必要がありません。
純粋な金の価値を最大限に享受できます。
また、インゴットは取引が簡単で、信頼できる販売業者を通じて購入することで、その価値が保証されます。
中でも特に金のインゴットは「ゴールドバー」と呼ばれ、ニーズも高いです。
高額で取り引きされることも少なくありません。
■ 長期保存で金貨やインゴットがおすすめの理由
金やインゴットはインフレーションに強いです。
紙幣の価値が下がっても、価値は比較的安定しています。
また、保有期間中は市場の変動に対するヘッジ手段としても利用できるため、安定した資産形成が可能です。
長期間にわたって資産価値を保持する手段として優れています。
金貨に関しては鑑賞性が高いことから、コレクターからの人気も高い物です。
希少性の高い金貨であるほど、付加価値がつく可能性があります。
純粋な金の価値をより高く維持できるため、長期的な資産保有コストをおさえることが可能です。
金貨やインゴットは、その価値の安定性や多様な用途、高い流動性などから、長期保存に優れた資産といえます。
5. きちんと保管や手入れをして金を長持ちさせる
金の価値を長く保つためには、適切な保管と手入れが欠かせません。
保管は、湿度や温度の変化が少ない場所にすることが重要です。
また、柔らかい布で優しく拭くことで、表面の汚れや皮脂を取り除き、輝きを維持できます。
定期的な点検も行い、変色や損傷がないか確認しましょう。
金のアクセサリーや指輪などの装飾品に限らず、金貨やインゴットも同様です。
適切な保管と管理を行えば、資産価値を安定的に維持できます。
ケアを怠らず行えば、金の美しさと価値を長期間保てるでしょう。