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経済

日本へのインバウンドは貴金属価格に関係するのか? 観光客がもたらす利益を解説

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観光客がもたらす経済的利益は、多岐にわたります。

特に、2023年に観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査によると、2023年7月~9月は、2019年の同じ時期と比べて、宝石や貴金属の購入単価が2倍になったとの報告もあります。

このように、インバウンドと呼ばれる海外旅行客は、航空・鉄道やホテル業界以外の市場にも大きな影響を及ぼすのです。
そこで今回の記事では、インバウンドがもたらす経済効果と貴金属市場への影響を解説します。

1. 今日本ではインバウンドが注目されている

外国からの旅行客は、日本の観光業界や経済全体に新たな活気をもたらし、その影響は日増しに広がっています。
特に、アフターコロナにおいては、インバウンドが日本経済の再生に重要な役割を果たすと期待されるほどです。
まずは、インバウンドの意味をお伝えし、なぜ今の日本で注目されているのかを解説します。

■ インバウンドの意味

インバウンドとは、「外から内に入ってくる」という意味です。
冒頭でお伝えしたとおり、訪日外国人旅行または訪日旅行を指します。
特に、観光業界では、「インバウンド消費」や「インバウンド市場」といった言葉も使われやすいです。

一方、対義語にはアウトバウンドがあります。
アウトバウンドとは、「内から外に出ていく」という意味で、日本から海外へ旅行することや、日本人海外旅行客を指します。

また、マーケティング業界でも「インバウンドマーケティング」という言葉がよく使われます。
顧客が自分から興味を持つようなマーケティング活動という意味合いで用いられやすいです。
具体的には、WebサイトやSNS、メルマガなどで、顧客に役立つ情報を提供しながら、自社の商品やサービスを紹介する方法が代表的です。

インバウンドは業界ごとに異なる意味を持つため、それぞれの使われ方を理解しておきましょう。

■ インバウンド需要とは

観光業界で使われるインバウンドの言葉に、「インバウンド需要」があります。
訪日外国人による日本国内でのサービス・商品への「需要」という意味で、過去に話題になった中国人による「爆買い」は、インバウンド需要が増加した一例といえます。

そして、外国からの旅行者が、日本の商品やサービスを買ったり利用したりすることは、日本でお金を使うことなので、日本の国内総生産(GDP)では「輸出」に相当します。

さらに、経済学的には、輸出が増えると国の経済全体が活性化し、人々の収入や消費が増えるといわれています。
つまり、インバウンド需要が増えると、日本経済全体にプラスに働くということです。

また、インバウンド需要は、年間をとおしての、繁忙期と閑散期の差を縮めるためにも役立っています。
なぜなら、ゴールデンウィークやお盆に限らず、外国からの旅行者は日本の休暇や祝日に関係なく訪れるからです。

そのため、観光業をはじめとするさまざまな業界は、インバウンドによってより安定した収益を得られるといわれています。

■ 円安とインバウンドの関係

日本における30年ぶりの円安は、インバウンドにも大きな影響をもたらしています。

日本の通貨である円が他国の通貨に比べて価値が下がる(円安)と、外国からの訪日観光客が増える傾向にあるからです。
そして、海外からの訪日外国人は、昨今の円安が追い風となり、惜しみなく豪華なホテルに泊まったり高級食材に舌鼓を打ったりします。
テレビでも頻繁に、高級ブランド店を訪れる観光客の姿が取り上げられていますよね。

このように円安によって日本での買い物が外国人にとってお得になり、結果として日本経済にも大きな影響を与えているのです。
ここでは、円安とインバウンドの関係性を紹介します。

■ 2024年の訪日客数

2024年3月の訪日外国人観光客数は、308万1,600人に達しました。
2023年同月比で69.5%増加、2019年同月比でも11.6%増加という大きな伸び率です。

背景には、春の桜シーズンや今年のイースター休暇が3月下旬から始まったことなどによるものと考えられますが、やはり昨今の円安の影響は無視できません。
そして、この数字は過去最高を更新し、初めて300万人を超える観光客数となったのです。

もともと日本でも、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、2020年に訪日外国人客数が大幅に増加することが期待されていました。

しかし、実際は2020年に新型コロナウイルスが拡大し、訪日外国人数は大幅に減少という結果になりました。
具体的には、2019年の訪日外国人客数は3,188万人であったのに対し、2020年は412万人、2021年は25万人にまで減少しています。
そのため、この時期はインバウンド観光が冷え込んだ年として知られています。

現在でも、日本政府は大阪・関西万博が開催される2025年をめどに、インバウンド対策を取り組み続けています。
そのため、引き続き日本を訪れる旅行者数は、増加の一途をたどるでしょう。

■ インバウンドによる経済効果

インバウンドの増加は日本経済に大きく影響しました。
2023年の訪日外国人旅行消費額は5兆3,065億円に達し、ひとり当たりの旅行支出は21万2,764円です。
これらの数字は、インバウンド観光が日本経済に与える影響の大きさを示しています。

そして、インバウンド観光が日本経済に与える影響は、単なる観光業界だけにとどまりません。
外国人旅行者が日本での買い物や宿泊、観光名所での飲食などにお金を費やすことで、多くの業種に波及効果が生まれます。

さらに、前述したとおり、インバウンド需要と円安の関係も見逃せません。
円安が進むと、外国からの訪日観光客が増加しやすくなります。
なぜなら、円安によって外国人が日本での買い物や観光をよりお得に感じるからです。

その結果、訪日外国人の消費が増加し、日本経済全体にプラスの影響を与えることが期待されます。

2. 観光客が貴金属を買う理由

訪日外国人観光客は、日本で爆買いと呼ばれる大きな買い物をしたり、ハイブランドをお土産にしたりします。
高級ジュエリーや貴金属も例外ではありません。
円安によって、外国人観光客は手軽に高品質の貴金属製品を手に入れることができ、さらに自国で売るよりも高値で売ることができるというメリットがあります。

続いては、観光客が貴金属を買う理由をみていきましょう。

■ 円安で手軽に買える

円安の状況下では、外国からの観光客にとって日本での買い物が格段にお得になります。
特に、高価な貴金属製品は、通常よりも手ごろな価格で手に入れられるため、多くの観光客が買い求める傾向にあります。

実際、中古品流通大手のコメ兵ホールディングス(HD)は、高額なブランド物や貴金属などを扱うリサイクルショップとして、インバウンド需要を積極的に取り込んでいます。
実際、コメ兵HDは第1四半期の決算発表時に、2024年3月期の連結純利益が前期比30%増の48億円に達するとの見通しを上方修正しました。
驚くべきことに、これは従来予想されていた40億円からの引き上げです。

3. インバウンドと貴金属の価格は関係している

インバウンド観光客の増加と円安の状況は、日本の貴金属市場に大きな影響を与えています。
外国人観光客は円安の恩恵を受け、手軽に高品質の貴金属製品を購入することが可能です。

このように、インバウンド需要と貴金属の価格は密接に関連しています。
円安は、外国人観光客の日本での買い物を促進し、貴金属市場の活性化に貢献しているかもしれません。

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