金貨投資の前に知っておきたい金投資 金への投資方法や価格も解説
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2024年に入り、新NISA制度がはじまったことで世間の投資への意識が非常に高まってきています。
多くの場面で全世界株や米国株、日本株に投資する投資信託がおすすめされていますが、金投資もおすすめの投資対象です。
「金投資に興味あるけど、金に投資する方法を知りたい」
「金投資のメリットや魅力がわからない」
そのような方に向けて、具体的な金価格を踏まえた金投資のメリットや金への投資方法を解説します。
この記事を読めば、資産形成において金投資がおすすめの理由がおわかりいただけるでしょう。
1. 価格高騰でも魅力的な投資の金
近年さまざまな商品の物価が高騰しており、多くの人が家計に打撃を受けている状況です。
物価の高騰は多くの方にとって避けられない問題です。
さらにこの先も物価高騰の流れが続くと予測されています。
一方で物価高騰のなかでも資産を守るための対策を取ることが可能です。
その方法とは『資産の増えるものに投資する』こと。
本記事では上記の条件に合う『金投資』をおすすめします。
ではなぜ金投資がおすすめなのか。
理由やその魅力を解説します。
■ 金はなぜ高いのか?現在の金の価格
金の価格が高い理由は主に4つあります。
(1)希少性が高い
(2)世界規模での資産としての信頼性
(3)加工のしやすさ
(4)インフレ対策
以上の4つを一つずつ解説します。
(1) 希少性が高い
金の希少性の高さは価格に強い影響を与えています。
2020年の国内の金の供給量は約106tです。
これは新しく産出された金の重さです。
近年は金製品をリサイクルして、新たな金製品をつくる取り組みが盛んですが、基本的に金は鉱山からの採掘がおもといえます。
鉱山は限られた資源です。
採掘したぶん鉱山にある金は減ってしまいます。
すると毎年必要な金の量は同じでも、採掘可能な量は減ってしまうのです。
つまり金はこれから増えることがない資産ともいえますね。
そういった理由から金は希少性があり、価値のある貴金属として、高い価格がつけられています。
(2) 世界規模での資産としての信頼性
これまでさまざまな暴落や社会情勢の変化など、投資家が不安に駆られる出来事がありました。
そのような中でも、金はほかの資産に比べて、下落幅が小さく下の価格水準に戻る時間が早かったという実績があります。
『(1) 希少性が高い』の項目で紹介したように、やはり減り続ける金の供給が、世界規模でも危惧されているのでしょう。
日本だけでなく世界でも金は需要があり、高い価値があると認められているのです。
(3) 加工のしやすさ
金は貴金属の中でもやわらかく加工しやすいという特徴をもっています。
そのため宝飾品に限らず、工業や医療といった多くの場面で使用されています。
このように金は汎用性が高く、常に需要があるため供給が追いつかないことも。
加工された金製品から金を取るリサイクル方法もありますが、それでも使える金の量は少ないです。
さらに先述したように金は埋蔵量に限りがあります。
これから先、金が枯渇するようなことがあれば、ますます金の価格が上昇していくことが予想できます。
(4) インフレ対策
金投資はインフレ対策としても有効な手段のひとつです。
田中貴金属の金価格の推移を参考にしてみましょう。
2021年の平均金価格は6,402円/gで、2023年の平均価格は8,834円/gとなっており、2年で約28%も値上がりしていることがわかります。
同時に日本のインフレ率も見てみましょう。
2021年のインフレ率は-0.23%に対して、2022年は2.5%にまで上昇しています。
さらに2023年は3.21%と、2021年より約3%も増加しているのです。
インフレ率が高ければその年はインフレの影響が強い年といえます。
金の価格とインフレ率を同時に見ると、物価高騰で経済の流れが滞っていたにも関わらず、金の価格は増加したことがわかります。
もう少し金価格とインフレの関係について深掘りしてみましょう。
まず参考にしたいのが、総務省が発表する消費者物価指数です。
2023年度の消費者物価指数における総合指数は前年同期比+3.2%でした。
さらに日本銀行は物価を安定させるために『2%の消費者物価上昇率』を目標としています。
一方、大手銀行の定期預金金利はどうでしょうか。
大手銀行の1年の定期預金金利は0.002%です。
インフレ率には遠く及ばない数値であることは明らかですね。
これが『インフレによって現金・預金が目減りする』という現象です。
これらのことから、多くの投資家が預金ではなく金投資に魅力を感じている理由がわかります。
もちろん長期保有すれば金価格が暴落する可能性もあります。
しかし長期的な金価格の上昇率を鑑みれば、金に投資する意義は十分あるのではないでしょうか。
■ 投資をするなら純度を確認
貴金属である金に現物投資をする場合、忘れてはいけないのが純度の確認です。
金の純度とは金地金や金貨に含まれる金の含有率のことです。
金の純度の示し方として24KやK24, 999.9と表示されています。
999.9は99.9%の純度であることを示しています。
こちらは簡単ですね。
ではKの単位が使われている場合はどうなるのでしょうか。
Kはカラットという単位です。
Kが用いられたら金の純度は24分率で計算されます。
たとえば24Kであれば、24分の24という意味で含有率が100%(実際は99.9%の場合が多い)であることを表しています。
では8Kはどうでしょうか。
この場合は24分の8となり、含有率が33.3%であることを表しているのです。
そして当然ながらこの純度が金の価格に直結してきます。
また用途も純度によって変わってきます。
・24K(純度100% or 99.9%)・・・インゴット(金塊)のような資産として保有される場合が多い
・18K(純度75%)・・・主にジュエリーに用いられる。ホワイトゴールドやピンクゴールドにもなる
・14K(純度58.5%)・・・ジュエリーのほかにも万年筆やメガネ、時計といった日用品にも使用される
・8K(純度33.3%)・・・ジュエリーから日用品まで幅広い。純度が低いぶん、リーズナブルな価格に
金と聞くと、インゴットのような金塊をイメージしがちですが、アクセサリーに姿を変えた場合でも資産価値は生まれます。
また自身の資産を正確に把握する上でも純度の確認はとても大切です。
2. 金投資方法とメリット
ここでは具体的な金投資方法を解説します。
金に投資する方法は4種類あります。
それぞれ特徴が違うため、比較しながら自分に合った金投資をはじめてみましょう。
(1) 金先物取引
金先物取引とはあらかじめ金の価格を決めておき、将来の取引日に契約をするというものです。
取引日を迎えると、その日の金の価格に関係なく、先に決められた価格で取引が行われます。
そのため今後金がどのような値動きをするのかを予測しなければなりません。
また契約時に証拠金(契約を確実に履行するために支払う頭金のようなもの)を入れる必要があります。
必要な証拠金は取引内容によって、数十万円~数千万円と大きな差があるため、金融機関への確認が必要です。
この証拠金を口座開設した業者に差し入れることで取引が可能になります。
取引をする前に重要なのが金は1,000g単位から取引ができるという点です。
つまり金の価格が9,000円/gだとしたら、9,000円 × 1,000gで900万円の取引を行っているということになるのです。
■ 金先物取引のメリット
一般的に投資は買いからはじまるものですが、金取引は買い・売りどちらからでも取引可能です。
『買い』であれば、契約時よりも取引日に金の価格が上がっていれば、差額利益が得られます。
『売り』はその逆です。
金を持っていれば売りからもはじめられます。
価格が下落傾向にあっても取引をするメリットがあるのはうれしいポイントですね。
さらに金先物取引にはレバレッジを効かせられるというメリットもあります。
この場合のレバレッジとは少額の手元資金で、その数倍の利益が得られる効果が期待できることを指します。
金先物取引ははじめに証拠金を差し入れるだけで、数百万円の取引が可能となるため、レバレッジ効果の大きい投資方法といえます。
投資で大きな金額を短期間で手に入れたいという方に向いている投資方法です。
■ 金先物取引のデメリット
金先物取引の最大のデメリットはリスクが非常に高いという点です。
一度の取引で数百万円の取引ができるということは、損をしたときの金額も大きいということを指します。
数十万円からはじめられるだけで、実際の取引はもっと多額のお金が動いているという認識をもちましょう。
そして金先物取引は金1,000gからです。
仮に100円/gの変動があっただけでも、金先物取引の場合は10万円の変動が生じることになります。
こうした大きな額の変動は、人によっては非常に大きなストレスになるでしょう。
金先物取引の金額の揺れ幅で精神的に疲弊する人もいるほどです。
(1) 金ETF
金ETFとは金の市場価格全体への連動を目指すファンドのことです。
ETFは上場投資信託のことで、証券取引所に上場している銘柄に投資できます。
株式投資と同様の取引ができるため、すでに株式投資の経験がある方なら馴染みのある投資法でしょう。
■ 金ETFのメリット
金ETFの中には少額で取引できる銘柄もあります。
1株単位で購入可能な銘柄であれば、5,000円前後で購入できるものも。
手軽に購入できるのは投資初心者にもありがたいポイントです。
また初期投資額が少なく、低リスクではじめられるのも金ETFの魅力です。
さらに金ETFは証券取引所に上場している銘柄のため、株式同様にチャートを見ながら売買ができます。
そしてリアルタイムで売買できるとは流動性が高い、つまり現金化しやすいということでもあります。
現物の金であれば、実店舗に足を運んで売買しなければなりませんが、金ETFなら取引が行われている時間帯ならいつでも売買できます。
これはETFならではのメリットといえます。
■ 金ETFのデメリット
ETFの場合配当金が出る銘柄が多いのですが、金ETFになると配当金が出ないので注意しましょう。
そのため金ETFで収益を上げるには売却益を狙う必要があります。
そして金ETFは金の価格に連動する投資商品のため、金の価格が大幅に変動しない限りは大きな収益は見込めません。
大きな収益を上げるには、それに見合った大きな金額で投資する必要があります。
もちろん大きな収益をリスク許容度の範囲内で投資金額を増やすのは可能ですが、それだと『低リスクではじめられる』というメリットを打ち消してしまいます。
メリットを取るか、デメリットを取るかの判断は自分にゆだねられます。
それぞれの特徴をよく理解したうえで投資することができれば、デメリットしかないといった状況は起こりにくいはずです。
(3) 金地金・金貨
金地金や金貨への投資はいわゆる現物投資、つまり実物の金を売買した差額で利益を獲得する投資方法です。
金投資と聞くとこの投資方法が最初に思い浮かぶかもしれませんね。
金地金はインゴットのような金塊を指します。
金貨は金でできた貨幣です。
さらに金貨は地金型金貨と収集型金貨に分けられます。
地金型金貨は投資用に発行されている金貨で、貨幣としての価値に金の価値が付加されます。
地金型金貨はメイプルリーフ金貨やイーグル金貨、パンダ金貨などが代表的です。
収集型金貨は貨幣としての役割はなく、コレクション要素が強いのが特徴。
発行枚数が限られているものが多く、プレミア価値がつきやすいです。
そのため地金型金貨よりも高額で取引される傾向があります。
収集型金貨はキャット金貨や、カナダ野生動物金貨が有名です。
なかでも、カナダ野生動物金貨は毎年違うデザインで発行されるため、世界的に人気のある金貨となっています。
■ 金地金・金貨投資のメリット
金地金や金貨はそのものに価値があるため、価値がゼロになることはありません。
またインゴットや金貨を買うだけではじめられるので、投資の初心者でも簡単にはじめることができます。
さらに金は実物としての価値があるだけでなく、価格は長期的に上がり続けています。
その価格上昇率はインフレ率を超えています。
これからのインフレに対する備えにもなるのは非常に心強いですね。
■ 金地金・金貨投資のデメリット
金地金や金貨の価値がゼロになることはありませんが、現物がなくなってしまうと価値どころの話ではありません。
現物ではないETFなら保管の手間がかからず、盗まれたり傷がついて価値が下がることもないです。
保管に気をつかう点は、金地金・金貨投資だけのデメリットともいえます。
盗難や紛失を防ぐためには、適切かつ厳重な管理が必要です。
よりセキュリティを高めるために保管サービスを利用する場合もあり、割高な管理コストが生じる恐れもあります。
金貨はコレクション要素からプレミア価格がつくと解説しましたが、すべての金貨がそうであるとは限りません。
プレミア価格がつくまで、数十年もコインを保管しなければならない可能性もあります。
保管の期間が長いほど、サービス料などのコストが増えます。
せっかくプレミア価格がついて高額の利益を得ても、保管のための費用を差し引いたら、購入額とあまり変わらない金額だったなんて事もあり得ます。
そしてコストの面のデメリットはもうひとつあります。
金地金の現物保有には税金もかかるという点です。
金地金や金貨を5年以内に売却した場合は短期譲渡所得、5年以上の場合は長期譲渡所得という扱いになり、かかる税金が大きく変わってきます。
短期譲渡(所有期間5年以内)
売却価額-(取得価額+売却費用)-特別控除50万円=課税譲渡所得金額
長期譲渡(所有期間5年超)
売却価額-(取得価額+売却費用)-特別控除50万円}×1/2=課税譲渡所得金額
上記のように、所有期間が5年以下だと長期譲渡の2倍の課税譲渡所得となります。
譲渡所得が大きければ大きいほど、金額差が大きくなるため、5年以上保有するのがおすすめです。
(4) 金鉱株
金鉱株は金の採掘・精錬にかかわる企業の株式が投資対象となっています。
そのため金鉱株は企業の株価に大きく左右されます。
前述した金ETFと似ていますが、金ETFの場合は金の価格に連動する値動きを目指すファンドが投資対象となっているので、違いを理解しておきましょう。
■ 金鉱株のメリット
金鉱株の最大のメリットはオペレーティング・レバレッジがかかる点です。
オペレーティング・レバレッジとは売上の変動以上に、株価が大きく変動する現象です。
一般的に金を採掘するのに、人件費などの一定の固定費が発生します。
固定費は仮に金の価格が上昇しても変動しません。
つまり金の価格が高まれば高まるほど、企業の利益は直接的に上がっていくということ。
このレバレッジ効果により、金の現物やETF以上に大きな利益を狙えるのが金鉱株のメリットです。
さらに金の採掘にかかわる企業の株式を購入するため、通常の株式投資同様にチャートを見ながらリアルタイムで売買可能な点です。
そして金投資では受け取れない配当金を、金鉱株なら受け取れます。
しかし金鉱株の配当金は、一部の企業でしか適用されていないので、はじめる前には要確認しましょう。
■ 金鉱株のデメリット
金鉱株への投資はいうなれば株式投資です。
投資先の企業が倒産すれば、その株式の価値はゼロになります。
現物投資と株式投資の違いをしっかり理解した上で投資しましょう。
またメリットの面で『オペレーティング・レバレッジがかかり、大きな利益が期待できる』と解説しました。
しかしそれは金の価格が下落すれば、株価へのダメージも非常に大きなものになってしまうというデメリットも持ちあわせていることを意味しています。
金鉱株に関わらず、レバレッジには諸刃の剣のような側面があると認識することが非常に大切です。
3. 自分に合った金投資
本記事では金投資のメリットと具体的な方法について解説しました。
資産形成が各方面で取り沙汰されている今だからこそ、リスク分散のための金投資を検討する価値があるのではないでしょうか。
また金ETFや金鉱株は新NISAの成長投資枠で購入できる銘柄もあります。
その一方で、人によっては金地金や金貨といった現物投資の方がインフレ対策やリスク分散の効果が高くなる場合もあるでしょう。
それぞれの目的に適った自分に合う投資を選んでみてください。