円高だけじゃない? ドル高が金価格に影響する理由をわかりやすく解説
2023 年金相場上昇中!
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2024年5月現在、円相場が1ドル155円を超え、円安をさらに後押ししています。
結果として、原油や小麦粉などの輸入品が割高になり、食品が値上げされるニュースを連日目にしている方も多いでしょう。
ほかにも、円の動向は金の価格にも大きな影響を与えるのをご存じでしょうか。
円安が続く中、金の買取価格は上昇を続け、2024年5月には13,000円台を突破しているのです。
今回の記事では、円安・円高の定義に加えて、金価格への影響や金の売却・保有時に注意すべきポイントについて解説します。
金を買ったり売ったりしようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1. よく聞くドル高や円高とはなにか
ドル高や円高とは、異なる通貨同士の交換レートが変動することを指します。
レートとは、ある通貨を別の通貨に換算する際の比率のことです。
たとえば、1ドル=110円のような表記はよく目にするでしょう。
そしてドル高とは、日本円に対してドルの価値が上がることです。
つまり、1ドルを購入する際、より多くの円がかかってしまう状況を指します。
たとえば、1ドルが110円から120円になった場合をドル高と言います。
逆に、円高とはドルに対して円の価値が上がることです。
つまり、1ドルが少ない円で交換できる状況を指します。
そして、これらの為替相場の変動が及ぼす影響は多岐に渡ります。
たとえば、国際間の貿易や旅行、投資などがあげられます。
さらに、為替相場は経済や政治的な出来事などに影響を受けるため、常に変動していることを覚えておきましょう。
ここでは、ドル高や円高がどのような影響を与えるのか、それぞれについて解説します。
■ ドル高が経済にもたらす影響
ドル高では円の価値が下がるため、輸入品が高くなります。
結果として、輸入に頼っている日本では、ドル高が起こると輸入コストが高くなり、国内の物価上昇が起こるのです。
たとえば、食品、日用品、ガソリンや電気代といったエネルギーなどの値上がりは、直接国民の家計を圧迫します。
一方で、円安ドル高は日本の輸出産業にとっては有利に働くことがあります。
円の価値が下がることで日本製品が海外で安くなり、輸出の増加が期待できるためです。
結果として、輸出関連企業の業績が向上し、経済全体にプラスの影響を与える可能性があります。
またドル高の影響で、外国の消費者は海外でも売っている同じ製品を、日本でより安く購入することが可能になります。
海外でも手に入る有名ブランドのバッグやアクセサリーを、わざわざ日本で購入する海外旅行客が多い理由には、このような背景があるのです。
このため、円安ドル高によって外国人旅行者は同じ予算でよりお得に日本での観光や買い物、食事などが楽しめます。
このようなインバウンド(外国からの訪日旅行者)は、日本の観光産業や関連産業にとってプラスの影響を与える存在です。
彼らが日本のホテルやレストランなどを利用することで、地域の活性化にもつながるのです。
このように、ドル高は輸出産業や観光業にはプラスの影響を与えますが、国内の消費者に対しては物価上昇という負担をかける側面もあるのです。
■ 円高が経済にもたらす影響
ドル高の影響をお伝えしましたが、円高ドル安のケースもみていきましょう。
円の価値が上がることで以下の現象が起こります。
・円建てで売られている製品を買うときにかかるドルが増える
・ドル建てで売られている製品を買うときにかかる円が減る
このふたつの現象は、海外製品の購入がしやすくなることを示唆しています。
たとえば、海外旅行や現地の商品の価格が日本円に対して低下するため、輸入チーズやワインを楽しむ機会が増えるかもしれません。
さらに、資源が乏しい日本は、多くのエネルギーを輸入に依存しています。
円高により原油やガソリンの価格が下がるため、コストが削減され、企業経営に好影響がもたらされるでしょう。
一方で、円高が進むと日本からの輸出品の価格は上昇します。
日本企業の製品は相対的に高価になるため他国から購入されにくくなり、輸出企業の業績が悪化します。
また、日本を訪れる海外旅行客にとっても、宿泊費や買い物が高く感じられ、日本の観光業や小売業にも悪影響となるでしょう。
2. ドル高は金投資でデメリットとなるのか?
一般的な円安ドル高の影響やメリットを紹介してきましたが、ここからは金投資との関連性をみていきます。
すでに資産として金を保有している方や、売ることを検討している方は、改めてチェックしてください。
■ 金の価格はドルで決まる?
国際的な金市場での取引は主にドルで行われます。
そのため、金価格はドル建てで決まります。
これは、世界中の金取引が米ドルを基軸通貨として行われているためです。
なお、一般的な貴金属商(金、銀、プラチナなどの貴金属を取り扱う商売をしている業者や企業)の金価格は、円に換算した後の金価格に、コストと手数料を加味して設定されています。
■ ドルが安い時の金相場
ドルがほかの通貨に対して価値が低下すると、金の価格は上昇しやすくなります。
なぜなら、ドル以外の通貨を使用している国々から見ると、ドル建ての金の価格が相対的に安くなるため、金の需要が増加するからです。
具体的には、ユーロや円などの通貨で金を購入する際に、ドルが安くなれば金をより安く手に入れることができます。
さらに、ドルの価値が下がると、投資家は資産の価値を保全するために、市場の不安定さや経済の変動に対して比較的価値が安定している金を購入する傾向が強まります。
このため、金の需要がさらに高まり、価格が上昇する要因になりやすいのです。
ちなみに、金価格が1トロイオンス(31.1g)=1,500ドルの場合、国内での金価格は次のように計算されます。
1,500ドル/31.1g×為替相場
仮に金価格が1,500ドルと変化がなくとも、ドル/円相場が変動すれば、日本での金価格は大きく変わります。
ドル/円相場が100円であれば金価格は1g約4,820円ですが、90円まで円安になると約5,333円になります。
つまり、ドル安円高は時には日本での金価格が安くなるため、金を購入するなら円高の時期がおすすめです。
■ ドルが高い時の金相場
ドル建ての金価格に変化がなくても、ドルが高いときは、日本国内での金価格も上昇します。
円の価値が下がることで、ドル建ての金価格が相対的に高くなるためです。
この円安とドル高の状況は、アメリカの金利が日本の金利より高い場合に起こりやすくなります。
なお、最近の円安はアメリカの急激な利上げと、日本の金融緩和政策の継続という政策の違いが原因と考えられています。
3. 円だけでなくドルも見て金投資をすすめる
金の価格は、需要と供給のバランスや世界情勢、経済状況、金利などのさまざまな要因によって変動します。
これらの要因を把握することは、金の保有や売却を検討する際に重要です。
たとえば、日々のニュースや経済情報をチェックするだけでなく、過去の相場動向を調査し、その傾向を理解することも必要です。
もし、金相場が高騰しているタイミングで売却を検討する場合、その日の金相場だけでなく、金相場に影響する世界情勢にも注目してみてください。
なぜなら、金価格が国際的な有事の影響で上昇している場合、収束した際に価格が下落する可能性があるからです。
今回の記事で、金価格はドル円相場に影響されることもご理解頂けたでしょう。
そのため、今後の為替動向もぜひチェックしてください。
金を購入する際も、将来の金価格の動向や保有期間によって利益が見込めるかなど、購入のタイミングを検討することが重要です。