日本銀行(日銀)の円安対策 為替介入が金価格に影響する可能性を考える
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ここ数年、歴史的な円安が続いています。
2024年4月29日の外国為替市場では、一時的に1ドルが160円台前半を突破し、1990年4月以来34年ぶりの円安水準となりました。
しかし、その後すぐに円高傾向になったため、「日本政府による為替介入」があったのではないかと憶測が流れています。
こちらでは、為替介入が金価格に与える影響をご紹介します。
1. 現在日本では円安が進んでいる
最近、「円安」という言葉をテレビや新聞などでよく見かけるのではないでしょうか。
現在続いている円安は、2022年(令和4年)3月中旬頃からはじまりました。
それまでは、1ドル115円前後を推移していた為替相場が、円安方向に大きく動き、1か月後の4月下旬には1ドル131円台まで円安が進行したのです。
その後、さらに円安が進み、2024年5月には1ドル156円台まできています。
また、ユーロに対しても1999年にユーロが導入されて以来最も円安の水準で、2024年4月29日には一時的に1ユーロ171円まで円安が加速しました。
今後の為替相場の見通しについては不透明で、専門家をはじめ様々な人々が見解を述べています。
相場に影響を及ぼす要因は、経済理論や統計、政治、経済など多岐にわたりますが、根本的には、アメリカと日本の金利差が大きいことが円安の主因です。
そのため、日本が金利を上げない限り、円高に転じるのは難しいとの見方が広がっています。
■ 円安とは何か
円やドル、ユーロなどの異なる通貨の交換(売買)は「外国為替取引」と呼ばれ、「外国為替市場」で行われ、その交換比率が「為替相場(為替レート)」です。
簡単にいうと円で交換できる他通貨の量が多ければ円高(=円の価値が上がる)、少なければ円安(=円の価値が下がる)です。
相場は常に変動するため、円安円高に明確な境目はありません。
円安とは円の価値が他の通貨に対して下がる状態を指します。
たとえば、1ドルが100円から125円になると円安ドル高が進行したことになります。
具体的にいうと、1ドルが100円から1ドル=125円になると、10ドルのモノを買うために1,000円から1,250円が必要になるのです。
円安になると日本円の価値が相対的に下がるため、日常生活や社会に次のような影響が生じます。
海外製品が高くなる: 円安により、外国のモノを買う際に多くの日本円が必要になり、ガソリンなど輸入に依存するエネルギー資源や食料品の価格が上がります。
輸出企業の業績が良くなる: 海外へ日本製品を安く売ることができるため、海外企業との価格競争力が高まり、輸出企業の業績が向上します。
一方、円高になると以下の影響があります。
海外製品が安くなる: 円高により、少ない日本円で多くの海外製品を購入でき、海外旅行も円高の時期が有利です。
輸出企業の業績が悪くなる: 日本製品が割高となるため、輸出企業の売上に悪影響が出る場合があります。
通貨の価値が高すぎても、低すぎても、デメリットがあるのです。
円安では、海外から輸入している石油などのエネルギーや、食材などの価格が上昇して家計を圧迫します。
また、円高では輸出品の価格競争力が落ちるため、輸出企業の業績の悪化や失業者の増加に繋がるなどの悪影響を与えます。
このように、為替相場の急激な変動や過度な円安円高は、日本経済や日常生活にとって好ましいものではありません。
そのため、極端な円安円高を抑えるための対策として用いられるのが「為替介入」です。
2. 日本銀行(日銀)が動く 為替介入をするとどうなる
為替介入とは、中央銀行が外国為替市場で通貨を売買して為替相場に影響を与えることです。
日本では、円安円高を是正するために行われ、時期や金額は財務省が決定して、日銀が実際の通貨の売買を担当します。
現在は円安ドル高であるため、円安対策の為替介入が行われます。
円安対策では、外国為替市場で円を買ってドルを売ります。
為替市場で円が買われると市場にある円の供給量が減少するため、円の価値は上昇します。
さらに、ドルが売られると市場にあるドルの供給量が増加し、ドルの価値は下がるため円高ドル安の状況が生じるのです。
このような場合は、政府が貯蓄している外貨準備を利用して大量のドルを売ることで円を買い支えます。
反対に、円高対策の為替介入では、円を売ってドルを購入します。
■ 為替介入の意味 その目的とは
為替介入の正式名称は「外国為替平衡操作」です。
為替介入は、金融市場の安定化を図るために行われ、急激な為替の変動が企業や消費者に与える影響を軽減させます。
財務大臣の権限で実施され、財務省が管理する「外国為替資金特別会計(外為特会)」の資金が使われます。
円安対策の為替介入は、政府が持つ外貨準備高のドルを売却して円を購入するのが一般的です。
一方、円高対策では、財務省は外為特会の資金を基に、政府短期証券(FB)を発行して円資金を調達し、この円資金を売却してドルを購入します。
為替介入には種類があり、よく知られているのは、1つの国・地域が独自に行う「単独介入」と、複数の国・地域が合意して行う「協調介入」です。
また、為替介入を行う際に政府が非公開で行うことを「覆面介入」、実際に通貨の売買は行われないけれども、政府高官などが通貨誘導を目的に発言することを「口先介入」と呼んでいます。
■ 為替介入で株価に影響はあるのか
為替は、輸出企業や輸入企業に株価に影響があります。
なぜなら、円安になると株価が上昇し、円高になると株価が下落する傾向があるからです。
自動車などを扱う輸出企業は円安になると売上が増えて業績が向上し、株価が上昇するのが一般的です。
一方、食品や電力、ガス、化学、紙パルプなどを扱う輸入企業は、支払うコストが円ベースですので、円安になるとそのぶんコスト高になり利益が損なわれます。
為替レートは輸出入企業の業績に影響します。
そのため、為替介入が行われると、輸出入企業関連の株式が売られ、株式市場が大きく下落する可能性があるのです。
■ 過去の為替介入の事例
為替介入は、過去にも何度か実践されてきました。
為替介入によってどのような状況になったのか、具体的にご紹介します。
◆ 1998年 円安対策
1997年以降、日本では大手証券会社や銀行の経営破綻が相次ぎ、金融危機が発生し、1998年には急激なドル高・円安が進行しました。
日米の金利差が拡大していたことや、同年に米国株価が上昇局面にあったことが、円ドル高の主な要因です。
財務省の発表によると、1998年4月9日と10日の為替介入合計額は約2.8兆円に達します。
しかし、介入前は130円台であったものの、為替介入後も円安傾向は続き、同年夏には円相場が140円台に突入しました。
◆ 2001年 円高対策
2001年9月11日に発生した米国同時多発テロ事件以降、ドルが急速に売られ、円高ドル安が進行し、これを受けて日米をはじめとする各国が協調して為替介入を実施しました。
財務省の発表によると、2001年9月の為替介入は約3.1兆円で、この結果、介入前は1ドル110円台半ばでしたが、年末には円安が進み、1ドル130円前後まで回復します。
◆ 2011年 円高対策
2011年、東日本大震災で日本経済が打撃を受けていたにもかかわらず、円高圧力が強まっていました。
円高の理由は、ギリシャ危機に対するリスク回避の動きによって進行していたもので、2011年10月31日には過去最高の円高となり、1ドル75円32銭を記録したのです。
この円高を抑制するため、政府と日銀は為替介入を秘密裏に行う「覆面介入」を実施します。
◆ 2022年 円安対策
最近では2022年9、10月に、日米金利差の拡大やウクライナ危機による物価高進行などで急激な円安が進んだため、24年ぶりの円買い介入を実施しています。
政府は9月に約2.8兆円規模で円買いの為替介入を行いました。
しかし円安は止まらず、10月には1ドル150円台という歴史的な円安水準に達します。
これを受けて、政府と日銀は10月21日と24日に再度為替介入を行い、約6.3兆円を投入しました。
為替介入により1ドル145円台だったレートは140円台まで円高方向に動きましたが、数日で元の水準に戻り、10月には150円を突破しました。
3. 金の価格が上がる可能性はある?
円建て金価格に影響を与える主な要因は米ドル円の為替レートです。
円安になると円建て金価格は上昇し、円高になると下がるため、日本の為替介入は円建て金価格に大きな影響を与えます。
現在の円安は、アメリカとの金利差をはじめ、日本の経済成長率の停滞、物価上昇率、財政収支などの経済の基礎的諸条件であるファンダメンタルズが原因となっているため、政府の介入があっても相場の基調を変えるのは容易ではありません。
そのため、為替介入後も円安が進む可能性が高く、金価格は上昇すると考えられます。
4. 日本経済が変わる前に できることを考えておこう
世界の市場ではドル建ての取引が基本ですが、日本では金の売買はドルを円に換えて行われるため、為替レートが金価格に大きく影響します。
円安になると金価格が上昇する傾向があるため、金の売却には良い時期だといえるでしょう。
一方で、金価格が上昇している現在は、金の購入を躊躇する方もいます。
しかし「有事の金」と言われるように、金を一定量保有することはリスクヘッジとしても安心です。