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日本で最初の5万円金貨が、1993年に発行された皇太子殿下御成婚記念金貨です。日本で初めてこのような記念貨幣が発行されたのは、1964年の東京オリンピックの時です。
その後、長野オリンピックや日本ブラジル交流年及び日本人ブラジル移住100周年記念などに際し様々な貨幣が発行されてきましたが、今回はこの金貨の魅力と取引における注意点について説明します。
INDEX
皇太子殿下御成婚記念金貨は、令和時代に入り天皇として即位された徳仁天皇殿下と同じく皇后になられた雅子妃殿下の御成婚を記念して発行されました。
御成婚自体は、結婚の儀が執り行われた1993年6月9日でしたが、記念硬貨が発行されたのは同年の9月9日です。
金貨の他に記念切手なども発行されていますので、当時がいかにお祝いムードだったのかが窺えます。
硬貨と言っても実際に発行された硬貨は5万円金貨、5千円銀貨、5百円白銅貨の3種類でした。発行枚数は5万円金貨が200万枚、5千円銀貨が20万枚、5百円白銅貨が30万枚発行され皇太子殿下御成婚記念プルーフ貨幣セットも発行されています。
プルーフ貨幣については後述するとして、一番多く発行されたのは金貨ですが、額面5万円の金貨としては国内唯一であり、一般的に5万円金貨と呼ばれているのです。
上述の通り、皇太子殿下御成婚記念金貨が日本で最初の5万円金貨ですが、日本で初めて発行された金貨が天皇陛下御在位60年記念金貨です。
これ以前にも記念貨幣は発行されていますが、徐々に貨幣の鋳造技術が向上していき、貨幣に対する価値を求める人が多くなったことが窺い知れます。
これは昭和天皇御即位60年を記念して昭和61年に発行されたもので10万円金貨でした。平成に入り、天皇陛下御即位記念金貨が発行されましたがこれも10万円金貨でした。
同じ額面10万円でも、金貨に含まれている金の量が異なるため価値が変わってきます。このように、記念貨幣には色々な種類がありその額面も様々に決められているのです。
1993年に発行された純金製の皇太子殿下御成婚記念金貨はデザインの面で評価が高く、普通の状態で保存されているものであれば額面の5万円以上の価値がでると言われています。金貨は金の相場に応じて価値はかわります。
この金貨の図柄をデザインしたのは平山郁夫と造幣局工芸官でした。平山郁夫は新潮社芸術大賞を受賞した経験のある画家で、自身が広島県で被爆を体験していることから平和を願う作品を描き続けたことでも知られています。
このような背景もあり、平和を切に願う平山がこれからも戦争のない平和が続くようにとの願いを込めて造幣局工芸官とともにデザインしたのです。
金貨の表面には瑞鳥の鶴2羽と波、裏面は皇室の御紋章である菊花紋章と皇太子殿下のお印である梓があしらわれています。
これは、皇太子殿下の婚約について詠っている和歌にちなんだものです。その時に詠まれた和歌が「大空に舞ひ立つ鶴の群眺む幼な日よりのわが夢かなふ」というものです。
金貨にはまさしく大空に舞い立つ鶴の様子が生き生きと刻印されています。5百円白銅貨も同じものをモチーフとしていますが、金貨は白銅貨に比べ価値の高いものであるため金貨の方が波と鶴の羽が大きく描かれています。
額面が5万円の金貨は、このように和歌をモチーフとしてデザインされていますが、その他にも発行元は日本政府であることが刻印されています。
ちなみに、徳仁皇太子殿下御即位を記念した記念貨幣が発行されることが決まっていますが、一万円金貨のデザインにも梓の葉が使用されています。K24純金(24金)で重量は18g、直径は27.0mmです。
重さに関して言えば、昭和天皇陛下御即位記念金貨は20g、平成発行の天皇陛下御即位記念金貨は30gという違いがあります。
皇太子殿下御成婚記念金貨は金貨であるため国際的にも通用する貨幣です。貨幣の世界にはMDCコイン・コンペティションという世界的なコインのコンペティションがあり、世界造幣局長会議(Mint Directors Conference)に付随するイベントとして、メンバー造幣局が製造した貨幣のコンペティションが行われています。
このコンペティションでは、記念貨幣(プルーフ金貨幣)、記念貨幣(その他)及び流通貨幣の3つのカテゴリーがあります。
このコインコンペでは1つのカテゴリーにつき1種類の貨幣の応募が可能で、それぞれのカテゴリー別に最も美しい貨幣と最も技術的に優れた貨幣が投票で選ばれるという仕組みになっています。
このような世界的なコインのコンペティションで、日本造幣局から発行された記念貨幣・硬貨のうち、数種類だけ賞を受賞しているのですが、皇太子5万円金貨はそのうちのひとつなのです。
この5万円金貨は発行された翌年の1994年に、記念貨幣(金貨)のカテゴリーにおいて最も技術的に優れた貨幣賞を受賞しました。そのため、皇太子5万円金貨は国際的に高く評価された実績がある貨幣として知られているのです。
その後も日本からは2002FIFAワールドカップ千円銀貨が最も美しい貨幣賞を受賞したり、天皇陛下御在位20年記念1万円金貨が最も美しい貨幣賞を受賞するなど、世界的に見ても日本の貨幣のデザインは高く評価されているのです。ちなみに、上述の日本で初めて発行された金貨である天皇陛下御在位60年記念金貨は1988年にベスト・ゴールド・コイン賞を受賞し、コイン・オブ・ザ・イヤーにノミネートされた実績があります。
皇太子殿下御成婚を記念して発行された貨幣は5万円金貨、5千円銀貨、5百円白銅貨がありますが、これらに加え皇太子殿下御成婚記念プルーフ貨幣3点セットも発行されています。
プルーフ貨幣とは、観賞用あるいはコレクション用の硬貨として鏡のように磨き上げ、模様部分をつや消しにして浮き立たせることで、美しく仕上げた硬貨のことです。この磨き上げには圧印という特別な手法が用いられます。圧印とはコイニングとも呼ばれており、通常よりも硬貨に強烈な圧力を加える技術です。
このような技法で仕上げられるプルーフ貨幣のうち、皇太子殿下御成婚記念金貨はブリスターパックという包装材に封入され、シリアルナンバーつきで販売されました。
なぜなら、天皇陛下御在位60年記念金貨の大量偽造があったためです。プルーフ貨幣金貨は200万枚発行されましたが、そのうち10万個は3種類の硬貨を、プルーフ貨幣としてセット販売されました。金貨、銀貨、白銅貨のプルーフ3点セットがそろっており、箱に入った状態で保存状態がよければ、希少価値から、買取価格の上乗せが期待できるのです。
これまで発行されてきたプルーフ貨幣には、例えばウルトラマンシリーズ放送開始50年記念プルーフ貨幣セットや鉄腕アトム誕生記念プルーフ貨幣セットなどがありますが、いずれも人気のヒーローということもあり需要が高いことから額面以上の価値があったと言われています。
皇太子殿下御成婚記念プルーフ貨幣もその枚数の少なさと日本初の5万円金貨であること、さらには世界的なコンペティションでの受賞歴など価値が上がる要素をもっています。2020年東京オリンピックを迎えるにあたって、多くの外国人が日本に注目しています。その中で、世界的にそのデザインや図柄が高く評価されている日本の貨幣の需要が高まり、思わぬ買値がつくかもしれません。
皇太子殿下御成婚記念金貨は唯一の5万円金貨として、また世界的に評価された金貨として人気も知名度も高い金貨です。その時々の金の相場にもよりますが、額面以上の買取が期待できますので、より高値を期待できる金貨やコイン専門の業者で査定をしてもらいましょう。
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