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新元号「令和」への改元が行われ、平成最後の記念として「平成31年銘の貨幣セット」などのミントセットが注目されています。ミントセットは記念購入としてならよいのですが、買取価格が上がることを期待しているのであれば、たぶん想像するほどの高額買取価格にはならないでしょう。やはり、ある程度の資産として考えた場合は金貨の購入がよいかと思います。では、どのような金貨が買取時に高額となるのでしょうか。
高額買取となる日本の記念硬貨と言えば、これまで様々な種類の記念硬貨が発行された中で、最も人気が高く、最高額となる「天皇陛下御即位記念の10万円金貨」でしょう。
今回はこの金貨の概要と気になる価格についてご紹介します。
平成31年4月に退位される今上陛下が即位されたときの記念に発行された記念金貨が、天皇陛下御即位記念の10万円金貨です。
記念金貨とは記念硬貨のうち、金を素材とする硬貨のことです。過去には皇太子殿下御成婚のほか、オリンピックやワールドカップ開催時、東日本大震災の復興事業記念などで記念金貨が発行されていますが、10万円金貨が発行されたのは2回のみです。
一つは昭和天皇の御在位60年を記念して、昭和61年と62年に発行された10万円金貨。そして、二つ目に発行されたのが今回ご紹介している、今上天皇陛下の御即位を記念して発行された10万円金貨です。
これら10万円金貨は日本で発行された金貨の中で最高額面です。素材は純金で、質量は30g。発行枚数は200万枚。
御即位記念のデザインは、表面には吉祥の兆しである「鳳凰」と「瑞雲」、裏面には皇室の象徴である「菊の御紋」のまわりに、今上陛下のお印の「桐」と「唐草」が描かれています。
その美しい図柄は海外のコレクターにも注目されるなど、高い芸術性も兼ね備えています。
この金貨の流通品（ミントステイト）は、ブリスターパックと呼ばれる偽造防止が施された透明なフィルムで密封されており、一つ一つ番号が割り振られています。
ほかに、ミントステイトの金貨と500円白銅貨がセットになったものと、コレクター向けに特殊加工が施されているプルーフ金貨が造幣局より販売されました。
プルーフ加工は各国でいろいろ異なります。日本の場合は、表面を鏡のように磨いて、模様をより鮮明に浮き立たせるために複数回プレスします。
天皇陛下御即位記念の10万円金貨の価格をご紹介する前に、記念金貨の価値がどのように評価されるのか知っておきましょう。
記念金貨には2種類の価値があります。1つ目は「金」としての価値、2つ目は「収集用コイン」としての価値です。
まず金としての価値についてです。金は古くから「安全資産」として人々に保有されてきました。
金は世界中で取引されており、その需要と供給のバランスから価格は常に変動しています。そのため金が素材である金貨の価値は、金の価格に連動します。
例えば10万円金貨が発売された平成2年（1990年）は金価格は年間平均約2,000円でしたが、金価格は2013年に最高5000円以上まで上がり、今でも平均4000円台という高価格で推移しています。
発行当時と比べると2倍以上に高騰していることがわかります。
金の価格は1グラムあたりで表示されるため、金貨の質量が大きいほど価値も高くなります。天皇陛下御即位記念10万円金貨の質量は30gなので、金としては単純計算で約15万円の価値があります。同じ10万円金貨でも、昭和天皇御即位60周年記念の10万円通貨は質量が20gのため、天皇陛下御即位記念10万円金貨の方が金としての価値は高いと言えます。
次に収集用コインとしての価値です。収集用コインとは地金型などの投資硬貨と異なり、コレクションを目的としたコインのことです。
収集用コインを中古市場で取引する場合は、その価値を証明するために、鑑定機関によるグレーディングを行ったほうが信頼性も高まり、取引しやすいでしょう。
グレーディングとは、そのコインの真贋、種類や付加要素、キズ・汚れなどの度合いによってランク付けすることです。保管状態がよいものほどランクが高くなり、その分取引価格も高くなります。
鑑定機関によっても多少違いはありますが、金貨の高ランクグレードは、PR・PF（プルーフ）とMS（ミントステイト）の2種類があり、PRやPFはプルーフ加工されたコインのグレード、MSは流通用に製造されたコインで流通しなかった未使用品のグレードです。それぞれ60～70の数値で評価され、70に近いほど評価は高くなります。
コインの希少性も取引価格を左右します。記念貨幣は発行枚数が限定されているため、希少性は高くなります。希少性が高いコインは高値で取引される場合があります。
天皇陛下御即位記念10万円金貨は、他の記念硬貨と比較しても数多く発行されており、希少性は低いと言えるでしょう。
ただ、PCGS社鑑定の天皇陛下御即位記念10万円金貨PR70DCAMなどであれば、2019年4月時点で25枚ほどしかなく、高値が期待できます。
デザイン性の高さも、金貨の価値を上げる要因となります。天皇陛下御即位記念10万円金貨は図柄の美しさに定評がありますが、世界の優れたデザインの金貨の中では上位に位置するほどのものではありません。そういう意味では積極的に取引されるようなものではないです。
以上のようなことから、10万円金貨の場合は、ほぼ金としての価値が全てといってもよいでしょう
平成2年に発行された天皇陛下御即位記念10万円金貨の販売価格は、「プルーフ金貨」が113,300円、「10万円金貨と500円白銅貨幣の貨幣セット」で106,090円でした。現在は造幣局では販売されていませんが、ネットオークションなどの中古市場で手に入れることができます。それでは実際に中古市場でどのくらいの価格で取引されているのかチェックしていきましょう。
2019年1月～3月までの、中古市場の買取平均価格は約13万円です。
プルーフの相場で約14万円とかなりの高価格で取引されています。この相場を見ても、天皇陛下御即位記念10万円金貨の価値がかなり高いことが、お分かりいただけるのではないでしょうか。
同じ10万円金貨でもプルーフとミントステイトでは相場価格に差がありますが、同じ金貨でもなぜ価格が異なるのでしょうか？
取引価格に差が出るのは、単純に美しさの違いが原因です。前述したとおり、プルーフコインはコレクター向けに加工された非常に美しいコインです。
同じ収集型の金貨なのですが、投資・収集品としてはプルーフが基本ですので、その分人気が集まり、ミントステイトに比べて価格が高くなります。
天皇陛下御即位記念10万円金貨のプルーフ
天皇陛下御即位記念10万円金貨のミントステイト
天皇陛下御即位記念10万円金貨は日本の記念硬貨の中で額面、価値ともに最も高い金貨です。さらにデザイン性も兼ね備えているため、コレクターだけではなく一般の方にもファンは多く存在します。平成最後の記念としてコレクション用に購入してもよいですし、今後の金の値上がりを期待して投資用に購入するのもよいでしょう。
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