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お買取りでも高価買取が期待できる海外金貨のコラムです。イギリス金貨と描かれている人物についてお話しをします。今回は現英国元首エリザベス2世の父にあたる人物で、先代のイギリス国王のジョージ6世についてのお話です。その在位期間は長期間ではありませんでしたが、激動の第二次世界大戦において英国を支え、揺らいでいた英国王室への信頼を立て直したこともあり、その評価は高いものです。国民から『善良王』と呼ばれていることからも、その功績の偉大さが推察されます。そんなジョージ6世は、近年は映画『英国王のスピーチ』の題材にもなりました。この映画中では激しい吃音症に悩まされている姿が描かれていますが、これは実際の体験に基づくものです。自身のトラブルも多々経験しつつ、数々の国難に挑んできたジョージ6世の生涯を見ていきましょう。
INDEX
ウィキペディア(Wikipedia)より画像引用
ジョージ6世の誕生は1895年12月14日のことで、アルバートと名付けられます。当時は、英国が猛烈な勢いを示し、世界に多くの植民地を有していたビクトリア女王が即位していた時代です。
日本で言えば下関条約の締結があった年で、後の二度に渡る世界大戦に向けて、世界の情勢が混乱を極めつつあった時代とも言えます。
このような時代に生を受けたアルバートを待ち受けていたのは、極端なスパルタ教育でした。彼の父にあたるジョージ5世は、王として第一次世界大戦を乗り越え、英国貴族と内閣の諍いを解決してきた人物です。
名君としての一面もありますが、同時に勉学がからっきし駄目であったり、X脚や左利きと言った特徴をコンプレックスに感じてきた面もあります。
そのような自身のコンプレックスを、我が子には感じてほしくなかったのでしょう。ジョージ5世はアルバートと、その兄であるエドワードに対して、かなり厳しい教育を課すことを決めたようです。
激痛を伴うX脚強制器具の装着を強要したり、左手に紐をつけられて右手だけを使うように仕向けたり、と言うようなエピソードが残っています。
行き過ぎた教育も問題ですが、同時期に虐待行為を働く乳母が存在していたのも良くありませんでした。幼かったアルバートとエドワード兄弟の心痛は察するにあまりあります。このような経験がトラウマになり、吃音症を罹患したと言うのが一般的な見解です。
困難な幼少期を経験したアルバートですが、その青年期も平坦なものではありませんでした。幾つもの苦難が降り掛かってきますが、同時に大きな喜びも得られ、彼にとっては今後のために貴重な経験ができた時代であったと言えるでしょう。
まず、1909年には海軍学校に入学することになりましたが、成績は振るわず学年最下位を記録したこともあります。この学業のできなさは父親譲りなのだそうです。ジョージ5世も学業に関しては惨憺たるもので、現在に残る書簡にも誤字脱字が見られます。
海軍学校では苦杯をなめたものの、アルバートは軍務を諦めません。第一次世界大戦の勃発に際し、海軍兵士として戦艦コリンウッドに乗船。殊勲報告書に掲載されるほどに活躍したようですが、幼少期のトラウマからストレスに弱くなったと見られ、間もなく十二指腸潰瘍を発症してしまいます。手術の影響でアルバートは戦闘復帰を不可能とされ、そのまま当時新設されたばかりの英国空軍に転籍しました。
空軍ではお客様扱いで、戦闘に赴くような役目は与えられなかったようです。
第一次大戦の終結に伴って、アルバートはケンブリッジ大学に進学します。そこでは歴史や経済を学びながら、精力的に公務もこなしていました。後に国王になってからの支持基盤は、この辺りの熱心な取り組みも影響があったのかも知れません。
プライベートでは嬉しい出来事があり、1920年に出会ったエリザベスへの度重なるプロポーズが功を奏し、1924年に目出度く結婚に至ります。実際にはエリザベスに何度か求婚を拒否されたようですが、熱心に口説き落としました。この諦めない姿勢を貫けるのは、アルバートの稟質です。ちなみに、このエリザベスは現英国女王であるエリザベス2世の母にあたります。
公務に熱心に取り組み、生涯の良き伴侶も得たアルバートでしたが、良いことばかりではありませんでした。幼少期のトラウマが原因と考えられる、吃音症に悩まされることになったのです。
吃音症はうまく言葉を発することができず、途中で詰まってしまったり、同じ音を繰り返してしまうため、これに悩む方は会話やスピーチを苦手とする傾向にあります。この点、アルバートは王家の人間として颯爽としたスピーチや演説を求められる立場です。したがって、周囲からの関心や期待が大きい分だけ、吃音症の悩みやストレスも深刻でした。
特に吃音症の影響が顕著に現れたのが、大英帝国博覧会での閉会スピーチを任された時のことです。大いに盛り上がった同博覧会でしたから、閉会スピーチへの聴衆の期待も高いものでした。結果、そのプレッシャーに耐えかねてアルバートは思うように言葉を発することができず、彼にとっても聴衆にとっても、辛い結果に終わったとされます。
このような吃音症の問題が表面化したことで、アルバートは治療を決心しました。セラピストであるライオネルと、妻エリザベスの献身的な支えもあって克服に成功したエピソードは、映画『英国王のスピーチ』に描かれています。
アルバートはジョージ5世の息子で、エドワードの弟にあたります。したがって、ジョージ5世の崩御に際し、英国王位を継承したのはエドワードでした。しかし、このエドワードが王としては困った性格の持ち主だったのです。
1936年にエドワード8世として即位した彼は、ヒトラーやムッソリーニと言った困った人物と親交を深めて、議会をやきもきさせてしまいました。同時に、当時のシンプソン夫人であったウォリスに執心してしまったのですが、これが王としては致命傷でした。
既に二度の離婚歴があり、しかも他人の妻であったウォリスとの結婚を望んだエドワード8世は、王位をすててしまいます。エドワード8世は在位から一年に満たない時点で、王位の放棄を決定。その後を継いだのがアルバートだったのです。
このような形で王位を継ぎ、アルバートはジョージ6世となったのですが、これは困難な役回りを押し付けられる形になりました。エドワード8世のいい加減な態度によって王家に対する国民の信頼は揺らいでいたわけですから、その立て直しは一筋縄ではいかないでしょう。しかも、この直後には第二次世界大戦の勃発もあり、ジョージ6世は苦境に立たされます。
ジョージ6世の治世にも歴代の国王と同じように金貨が発行されました。イギリス大英帝国がくずれゆくも大戦を乗り越え、国民の信頼も厚かったジョージ6世、中でも資産価値が高くコインコレクターや富裕層、投資家のかたに人気があるのが5ポンド金貨です。表面はジョージ6世の肖像で裏面は聖ジョージがドラゴンを退治するデザインです。1937年の単独発行のプルーフ金貨で発行枚数は5500枚でした。品位は917Goldです。クラウン銀貨や他コインも発行されました。
1937年戴冠記念金メダルが発行されました。発行枚数は約300枚程度。こちらのデザインの表面はジョージ6世で、裏面は妻エリザベス妃の肖像が描かれています。
ともに戴冠式の衣装で王冠をつけた国王と王妃の肖像です。こちらは大型と小型のメダルがあり、大型は質量が約123.8g、直径が57.00mmもあるそうです。銀メダルも発行されてます。
プレミアム金貨は別途査定いたします。価格は参考価格となります。
1936年12月14日に即位したジョージ6世は、その3年後に英国史上最も困難な戦いの一つである、第二次世界大戦に国王として臨むことになります。現在では、英国の戦勝に際し、時の首相であるチャーチルの働きが大きかったと評価されていますが、ジョージ6世の影響も決して小さくはなかったようです。
戦争に先駆けてジョージ6世はカナダやアメリカを訪問しており、特にルーズベルト夫妻と親密な関係を築けたことは、後の戦況を好転させる一因になったかも知れません。チャーチルとも当初は馬が合わなかったようですが、次第にお互いのことを信頼しある仲にかわり、現在では『英国の歴史上、最も強い絆で結ばれた王と首相』とされます。
大戦中の暮らしは過酷を極め、ジョージ6世夫妻の滞在するロンドンが、ナチス軍の爆撃にさらされたこともありました。しかし、それでも夫妻はロンドンを離れないと言う判断を下します。
これは国民と苦難を分かち合うと言う夫妻の強い決意によるものでした。英国国民にとっては、王がこのように頼もしい姿勢を示したことは、大いに心強いものだったでしょう。ジョージ6世は最前線にも慰問に訪れ、兵士の士気を鼓舞するなど、様々な場面で貢献を果たしたと言う記録も残っています。
アメリカの参戦で窮地を脱した英国は、息を吹き返して戦勝国として終戦を迎えることができました。しかし、大戦のダメージは大きく、かつての植民地が次々に独立を果たし、大英帝国は没落していきます。
加えてジョージ6世自身も大戦の疲れもあってか、体調を崩してしまいました。晩年には公務を果たせくなったため、長女であり後に女王となるエリザベス王女が代役を担うこともしばしばあったそうです。
ジョージ6世は1952年1月31日には病床にあったものの、オーストラリアに向かうエリザベス王女を見送るために、ヒースロー空港に訪れました。これには関係者の反対もありましたが、聞き入れなかったそうです。これが父娘にとって最後の対面になるかも知れないと、ジョージ6世はもしかしたら、感じていたのかも知れません。
数日後、ジョージ6世は突然、この世を去りました。眠っている最中での崩御だったとのことで、既に亡くなった状態で発見されたそうです。
激動の時代を生き、数々の困難に打ち勝ち、英国王家の信頼を回復した名君として高く評価されることが多いジョージ6世。その人柄と功績から、今でも親しまれている偉大な人物です。大戦によって国力の低下を余儀なくされた英国を支え、現在のイギリス連邦王国女王であるエリザベス2世による統治の基礎を固めたと評価されています。
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