これまで貴金属の査定や買取というと、専門店に出向いてしてもらう形式が一般的でした。しかし、昨今はスマホの普及によって、売りに出したい商品を撮影して、オンライン上で査定してもらうという方式が増えてきています。
なかでもLINEを使った査定は、多くの買取店が実施しています。店舗に出向いて査定してもらうよりも圧倒的に手間がかからず、日本全国どこからでも依頼できる便利な査定方法として人気です。
ただ、LINEを用いた査定方法には、メリットやデメリットがあることも事実です。
この記事では貴金属のLINE査定のメリットやデメリットを紹介するとともに、査定でトラブルに合わないための店舗選びのポイントを解説していきます。
LINE査定とは?
多くの貴金属買取店が実施しているLINE査定は、査定をお願いしたい商品の写真を何枚かLINEで送って、鑑定士に査定してもらうというのが一連の流れです。
自宅にいながらにして、専門知識を持つ鑑定士にオンラインで査定してもらえることから、非常に人気の査定方法です。まずは、LINE査定のメリットとデメリットを確認しましょう。
メリット:スマホで完結!手軽に査定できる
LINE査定の最大のメリットは、その手軽さです。商品を撮影するためのカメラも、店舗に送るための連絡手段もスマホが1台あれば事足ります。操作も慣れ親しんだLINEを使うため、送るまでの流れが分かりにくいということは、まずありません。
また売りたい商品の数が多くなると、店舗まで持っていったり配送する際に、紛失や盗難の被害に遭う可能性が高まります。この問題についても、LINE査定は自宅で完結できるため、品物を運ばなくても済むのがメリットと言えるでしょう。
そのほか、査定額が無料という店舗も存在します。名前や住所などの個人情報を入力せずに査定を進められることも多く、「手間をかけずにとりあえず値段を知りたい」という気軽な気持ちで利用できる点がLINE査定のメリットです。
デメリット:実物を見ないため正確な査定額が出ないことも
手軽さが売りのLINE査定ですが、同時に実物を見ないため査定額が正確に出せないことがあるという点には注意が必要です。
確かに、昨今のスマホのカメラは高性能なものが多く、十分に査定に使えるほどの高解像度の写真は撮影できます。しかし、実物を見ているわけではないため、その正確性にはどうしても限界があります。
本来、貴金属の査定はルーペや顕微鏡などを使って、細かいところまで確認します。場合によっては専門の機器を用いて判断することもあるのです。こういった詳細が写真だけでは分からないことも多いため、もしかすると実際に現物を査定した場合とは異なる金額となる可能性もあります。
あくまでも、LINE査定で提示される金額は暫定的なものであると考えておき、本当に売るかどうかは実物を見てもらってから判断すると良いでしょう。
LINE査定で起こるトラブル事例
ここからは、LINE査定でよくあるトラブルの事例をいくつか紹介します。LINE査定は手軽な分、使い方を誤ると大きなトラブルに発展しかねません。
場合によっては、詐欺の被害にあったり、店舗側から損害賠償を求められたりするケースも考えられるため、事前に店舗が記載している利用規約や注意点を熟読し、その上で利用しましょう。
高額査定の後に大幅減額
LINE査定では、依頼者から提示された写真を元に鑑定士が査定を進めます。そのため、LINE査定で提示された金額と最終的な査定額にブレがあることは、決して珍しいことではありません。
最初は高額査定だったのに、実際に実物を見てもらったら大幅に減額されるというのは、LINE査定に関するトラブルのなかでも比較的起きうるものと言えるでしょう。
商品の状態や傷、黒ずみの程度は査定額に影響しますが、どうしても写真では細かな部分までは判断しきれません。また、目に見える表面上の問題以外にも、プロの目を通すことで、思ってもみなかったマイナス評価がつく可能性は十分にあり得えます。
特に注意したいのがメッキ製品であった場合です。本来であれば比重計や化学分析機などの専門機器を用いてメッキかどうかを判断するため、数枚の写真だけでは店舗側もメッキ加工かどうかの確証は持てません。メッキ加工の場合は、純粋な貴金属製品に比べて圧倒的に買取価格は下がります。
信頼のおける店舗ならばLINE査定と異なる理由を説明してくれるため、もし金額に納得いかない場合は説明を求めても良いでしょう。
キャンセル料を請求する業者も
LINE査定を利用する前には、業者のキャンセルの取り扱いや発送・返送に関する説明を公式サイトなどで確認しておくことが重要です。前述のとおり、LINE査定と実物を査定した場合の金額が大幅に変動するケースは決して珍しいものではありません。また、品物の状態によっては買取不可となることも考えられます。
このとき、「査定料はすべて無料」という業者もあれば、「LINE査定だけは無料」という業者もあります。それ以外に、実際の品物をやり取りするための配送料についても「査定後の買取キャンセルで返送する場合はお客様負担」と定めている業者も少なくありません。
自分が金銭負担をしなければならない範囲を把握しておかないと、思った以上に手数料負担が大きいということになりかねません。
また、この手のトラブルで多いのがキャンセル料詐欺です。本来、買取業者との売買契約は本査定に納得した上で契約書を取り交わして成り立ちます。しかし、悪質な業者は、売り手側が納得していないにも関わらず、契約をキャンセルしたとして高額な違約金の支払いを求めてきます。
売買契約が成立していない以上、キャンセル料を支払う理由は一切ないため、求められた場合には、すぐに最寄りの警察、もしくは消費者センターなどに相談しましょう。
参考:先払い買取現金化に関する注意喚起 消費者庁
個人情報が悪用される危険性
LINEを使用する以上、セキュリティ面に懸念があることは覚えておきましょう。LINEが業務上で利用できる状態は、従業員が別の端末に個人情報などの重要なデータを移行できる状態であることを意味します。
さらに言えば、LINEはプライベート用のアプリであるため、業者は利用履歴を確認できません。この点においても情報漏洩のリスクは考えられ、安易に個人情報を入力しようものなら、悪質な業者が相手であれば悪用される可能性は十分に考えられます。
後述しますが、個人情報は店舗側からの求めに応じて必要なものだけを出すようにし、こちらからは不用意に出さないようにしておきましょう。品物を撮影したときの写真に映り込んでしまうパターンなどにも要注意です。
安全な買取業者を選ぶコツ3選
LINE査定は便利な一方で、運営会社やサービスのことを何も調べずに依頼すると、押し買いやキャンセル料詐欺、個人情報の漏洩といったトラブルになりかねません。実際に、ネット買取におけるトラブルは多発しており、無関係ではいられません。
安心できる売買にするためにも、査定を依頼する業者選びは非常に重要なポイントです。ここからは、LINE査定を依頼するときの業者の選び方を解説していきます。
実店舗を持つ信頼できる業者を選ぶ
貴金属の買取や査定を依頼する業者を探す大前提として、古物許可証を持っていることは絶対の条件です。そもそも、貴金属に限らず「モノを買って売る」ためには、古物営業法で定められた古物商許可証が必要となります。
この許可証は実店舗やホームページへの掲載が義務付けられているため、まずは許可の有無を確認しましょう。
そのうえで、利用するならば実際の店舗がある業者の方が売買の相手としては理想的です。スタッフが常駐しているため、査定に関する相談もしやすく、万が一の場合にはトラブル解決のための窓口になってくれることもあります。
ただ、許可証があるから問題ないというわけではありません。多くの会社の公式サイトを閲覧すると、「事業内容」や「会社概要」といった項目があり、「どんなことをしている会社なのか」紹介されています。
事業内容に複数の事業が羅列されて、最後に「買取サービス」と掲載されているような業者だと、あまり買取には力を入れていない可能性があります。口コミや買取の実績なども加味して、依頼先を選びましょう。
参考:古物商許可申請 警視庁
必要以上の個人情報を聞いてこない
古物営業法の第15条には、商品を売る相手の個人情報と身分証を求めることが義務づけられています。盗品や模造品などの流通を阻止するためにも必要な措置であり、個人情報や身分証を提出できない場合には、業者は買取を断ることが可能です。
逆に言えば、個人情報を求めてくる業者は正しく法律に則っていると言えます。ただ、必要な個人情報は、売り手の氏名や住所などの一般的な情報ばかりです。
それ以上の個人情報、たとえば、家族構成や収入などの売買に不要な情報を求めてくる業者は怪しんだ方がよいでしょう。
参考:古物営業法(令和元年 六月一四日同 第 三七号)
買取前に必ず書類を確認する
売買に限らず契約をめぐるトラブルのほとんどは、「それに関する説明を聞いていない、もしくは、受けていない」ことに起因します。
そのため、貴金属買取業者の多くは書類に基づいた買取契約の内容説明を実施しています。重要事項の説明を聞いた上で、本当に納得できた場合だけ、買取をお願いしましょう。
また、買取時にはさまざまな書類が発行されます。そのなかでも最も重要な買取契約書には、売った品物の数や種類、その金額などが記載されます。
口頭で説明された買取価格と記載された価格は一致しているか、品物の数や種類は依頼どおりか、それ以外にもクーリングオフの条件など、内容の確認を欠かしてはいけません。
LINE査定を利用する際の注意点
LINE査定は手軽な一方で、さまざまな制約があることも事実です。一般的な注意事項は、それぞれの買取サービスの公式サイトの「よくある質問」にも記載されています。トラブルに遭わない、トラブルを起こさないためにも注意事項は熟読しましょう。
そのほか、査定を依頼するときに気になるポイントがあれば、些細なことでも直接業者に確認すると安心でしょう。
査定額はあくまで目安と考える
前述のとおり、LINE査定において鑑定士は数枚の写真だけで商品の査定を行います。
複数の角度から撮影したり、傷や汚れの部分は接写で分かりやすくしたりすることは可能ですが、どうしても正確に判断できないような要素ができてしまうことは避けられません。そのなかには査定に大きく影響する要素もあるはずです。
写真ではなく実際に見てみないと分からないポイントは数多く存在します。そのため、LINE査定で提示された査定額は、あくまでも参考程度に思っておいたほうがよいでしょう。実物を見てもらうと、買取金額が上下することは決して珍しいことではありません。
しかし、それにも限度はあります。あまりにも大幅に異なっている場合は、査定結果について納得のいく説明を求めましょう。
不安な場合は店舗を利用する
LINE査定が不安な場合は、実際に鑑定士と向かい合って実物を査定してもらうとよいでしょう。
持ち込み査定は店舗に行く手間はありますが、実物を見て判断してもらえるためLINE査定よりも正確に査定してくれます。また、査定額についての説明もその場でしてくれるため、納得できたのであれば、そのまま買取してもらうというのも選択肢の1つです。
店舗に出向くのが難しい人には、出張査定を依頼するのも1つです。自宅に鑑定士を招いて鑑定してもらうため、店舗が遠い人や多くの品物を査定してもらいたい人におすすめの査定方法です。
最近の買取業者は、その多くがLINE査定も含めた3つの査定方法を実施しています。査定を依頼したい品物の種類や数、査定の目的なども踏まえた上で適切な査定方法を選びましょう。
LINE査定は実績のある買取業者に依頼しよう!
LINE査定はスマホ1台あれば十分にできる非常に手軽な査定方法です。しかし、その手軽さゆえに貴金属の買取実績のない業者も参入してきています。貴金属の査定は長年の経験と、それに裏打ちされた信頼がモノをいう世界です。LINE査定を依頼する業者は、確かな実績のある業者を選びましょう。
金貨買取本舗には、経験豊富な鑑定士が在籍しています。また、金やプラチナなどの貴金属製品に留まらず、ダイヤモンドや鑑定の難しいカラーストーンなどの宝石類の買取実績も豊富です。もちろん、LINE査定も受け付けているため、まずはお気軽にお問い合わせください。
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