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長い歴史と多彩な文化を持っている中国。そんな中国の古銭は、歴史や文化を反映した貴重な遺産として、世界中の収集家や研究者に人気があります。
中国古銭は非常に多種多様で、その歴史や価値は時代や地域によって大きく異なります。
この記事では、中国古銭の歴史や種類一覧、価値や買取価格、高く売るためのコツなどを紹介します。
中国古銭の歴史は、殷(いん)時代の貝殻貨幣が最初です。この時代、貝殻は貨幣としての役割を果たし、特に王族間で価値のあるものとされていました。
春秋時代に入ると、青銅貨幣の使用が普及しはじめます。
青銅貨幣はこの時期から秦・漢の時代にかけて、刀銭・蟻鼻銭(ぎびせん)・布銭・環銭などの独特な形をした貨幣として流通しました。
秦の始皇帝による中国統一後、貨幣は統一されます。その理由は、中国国内でさまざまな種類や重量の銅貨や私鋳銭が混在し、貨幣の価値が一定せず混乱が続いていたからです。
そのため貨幣は「半両銭」という新しい形態に変わりました。これは中心に正方形の穴が開いており、後の穴銭の原型とも言われています。
漢の時代になると、半両銭からより軽量な「五銖銭(ごしゅせん)」へと移行しました。この五銖銭は、後漢の滅亡まで長く使用され続けます。
しかし、品質の低下により、唐の時代には「開元通宝」へと切り替えられました。開元通宝は、その影響力が唐周辺の諸国にまで及び、日本の和同開珎もこれを模して作られたと言われています。
振り返ってみるとさまざまな種類があることがわかりますが、その中でも清朝の時代に使われた銭貨幣や、開元通宝、明銭、宋銭などの古銭は、現在では希少性や歴史性が高く評価されており、高値で取引されることもあります。
中国古銭のなかで代表的なものを、一覧にまとめました。それぞれの特徴や価格相場について、紹介します。
崇慶元宝(すうけいげんぽう) 折五は、金朝時代に鋳造された貨幣です。金朝は、12~13世紀に中国の北半を支配した王朝で、モンゴル帝国との戦争により衰退していきました。
衰退期には、硬貨の鋳造が難しくなり、希少で古銭としての価値が高くなっています。
直径約34mm、重量約10.7gの円形の貨幣で、表面には「崇慶元宝」という文字が刻まれています。価格は、一般的に15万円前後とされています。
1941年 香港一仙は、日本の侵攻により香港が占領される直前に発行された硬貨です。
この硬貨は、英国王立造幣局で鋳造され、表にはジョージ6世の肖像、裏には香港一仙という文字が刻まれています。この古銭は銅製で、直径は22mm、重さは3.942gです。
戦時中に発行されたため現存数が少なく、高い価値があります。一般的には15万円前後で取引されています。
孔孟遺風(こうもういふう)とは、清で作られた絵銭の一種で、その名の通り孔孟遺風という文字が刻まれています。
孔孟遺風は通貨として使われていなかったので、希少価値が高いとされています。
この古銭の直径は28.2mm、厚みが2mm、重さは8gです。価格は、状態によって異なりますが、一般的には23万円程度になります。
雷局八封 大判 絵銭は、中国で鋳造された絵銭の一種です。縦横ともに4.5cmの大きさで、たくさんの文字が刻まれています。
こちらも通貨として流通していない珍しい古銭のため、価格の相場は約34万円になります。
蒙疆銀行( もうきょうぎんこう)一角は、蒙古地区の蒙疆銀行が発行した打刻貨幣です。打刻貨幣とは、金属の塊に印を打った貨幣のことになります。
この貨幣の素材は、アルミニウムで作られているため重量は軽いものになっています。
この古銭は、在外通貨(日本が支配していた地域で発行された、日本円と交換できる通貨)と呼ばれる通貨の一種です。
在外貨幣の特性上、貨幣としての価値の裏付けがないため、インフレーションによって質が低下しました。
そして1945年に日本が敗戦し、政権が消滅したため、現在では数が出回っていない非常に貴重な貨幣です。
表面には鳥が大きく翼を広げたデザインに「一角」の文字があります。裏面は牛の絵柄が刻まれ、周りにモンゴル文字で「蒙疆銀行」、「成紀七三八年」と書かれています。
これは、チンギス・カンが即位した年から数えて738年目という意味です。価格は約32万円が一般的な相場です。
威豊通寶(かんぽうつうほう)は、清朝の咸豊帝の時代に発行された中国古銭の一種です。
背に額面と鋳造場所を示す文字があり、一文銭から当千銭まで、さまざまな種類のものがあります。
直径は約70~80mm、質量は約180~200gと、一般的な古銭と比べて非常に大きく重いことが特徴となっています。
材質は銅合金で、品位は不明です。表には「威豊通寶」、裏には「一百」と書かれています。
希少性と歴史性から価値が高いため、一般的な価格は約30万円です。ただし、一百と書かれたものだけでもさまざまな種類があり、それぞれに価値が違うため注意してください。
花銭とは、お守りや装飾品として使われた銭形のものです。そのため、貨幣としての価値はありません。裏面には神話や伝説の人物や動物、花や草などの図案が刻まれています。
中国の花銭は、漢代から民国初期まで約2000年にわたって鋳造されたため、種類や形状は非常に多様です。一般的には直径が45mm程度のものが多く見られます。
価格は、一般的には数千円~数万円程度のものが多いですが、種類が多いため珍しいものや保存状態が良いものはそれ以上の価格になる可能性があります。
咸豊元宝(かんぽうげんほう) 背當五百 戸部宝泉局は、清朝の1851年~1861年の咸豊年間に発行された大型の銅貨です。
表面には「咸豊元宝」、裏面には「背當五百」という文字が刻まれています。その左右に「戸部宝泉局」と満文で刻まれ、この銅貨が北京の戸部の宝泉局で鋳造されたことを示しています。
この銅貨は、当時の清朝が太平天国の乱や戦争によって金銀が不足したため、銅で作られました。しかし、結局銅も不足していたため銅貨の発行量も少なく、流通が限られていました。
そのため、希少な中国古銭のひとつとなっています。
直径約58mm、厚さ約4mm、重さ約60gと、通常の銅貨よりも大きく重いことが特徴です。価格は、一般的に美品で40万円前後となっています。
天啓通宝(てんけいつうほう)は、1621年から明で鋳造された中国古銭です。穴銭のひとつで、日本の江戸時代に貿易を通じて多く持ち込まれました。
直径は約45.72mm、厚さは約2.16mmで、表に天啓通宝と刻まれています。
さまざまな形や文字があり、裏面に刻まれた文字は多くのバリエーションが存在します。そのため、絵銭としても知られています。一般的な価格は約50万円です。
天下太平は、中国の明時代に発行された古銭で、洪武帝(こうぶてい)の治世に作られました。この言葉は、国内に争いや混乱がなく、平和と秩序が保たれている状態を表しています。
康熙通寶(こうきつうほう)や道光通宝、宣統通寳などの裏面にも、この言葉が刻まれていることがあります。
大きさは、重さが125g、直径が66.3㎜と大きく重い貨幣です。価格は一般的に80万円前後と高額になります。
雍正通宝(ようせいつうほう) 龍鳳は、清朝の時代に鋳造された貨幣で、清朝銭のひとつです。清朝銭は表面の文字で時期、背面の満字で場所がわかります。
雍正通宝 龍鳳の大きさは、重さが17g、直径が40㎜になります。
この古銭は、あまり製造されませんでした。加えて、雍正通宝はその大きな銭径と、はっきりとした美しい文字で知られており、高い価値の中国古銭となっています。
価格は、一般的には約70万円となっています。
咸豊重宝(かんぽうじゅうほう)は、清朝の咸豊帝の治世下で発行された大型の銅貨です。この貨幣は、数種類の額面が存在します。
咸豊重宝 背当百 計重五両 宝福局は、銅の含有量が高く、重量も約279gと非常に重い貨幣です。直径は約68.57㎜で、表面には、咸豊重寶という文字が刻まれています。
裏面には、一百という額面と計重五両という重量が刻まれ、左右に銭局名が記載されています。
種類の多い咸豊重宝のなかでも、価値の高い貨幣です。その一般価格は約50万円になります。
天啓通宝 背十一両密は、明の時代に鋳造された中国古銭です。表に天啓通宝と刻まれ、裏面には「十一両密」という刻印があります。
直径は47.8mm、厚みが2.8mm、重さは35gです。価格は一般的に、約60万円になります。
明朝時代に作られていた永楽通宝は、実は日本でも使用されていました。当時室町時代の日本は銭の鋳造をしておらず、銭を輸入に頼っていたためです。
永楽通宝はその後、江戸初期まで使われ続けていました。
この貨幣は、正方形の穴が開いた円形で「永樂通寳」という文字が表に刻まれています。金銭、銀銭、銅銭と3種類ありますが、金銭は18Kでできています。
そのうえ、ほとんど市場に出回りません。金としてだけではなく希少価値も高いため、一般的な価格は約110万円になります。
中国古銭は、その状態によって価値や買取価格が大きく変わります。古いものが多いため、錆や汚れや傷や変色などがあることが多いですが、これらは価値を下げる要因です。
無理に汚れを取ろうとして、自分で磨いたり洗ったりすると逆に傷付けてしまいます。この場合は専門家に任せましょう。
保管する場合は、湿気や直射日光を避けてコインケースや袋に入れてください。説明書や保証書、鑑定書がある場合は一緒に揃えておきましょう。
中国古銭は、需要によっても価値が変わります。需要の高まる時期をねらうことで高く売れますが、見極めるのは難しくなります。
そのため、自分の状況に合わせて、売りたい時に売ってしまってもよいでしょう。
また、中国古銭を複数所持している場合には1点のみ売るのではなく、複数まとめて売ることで、金額が上がることもあります。
中国古銭は、その歴史や文化の価値から、偽物が多く存在します。出回っている中国古銭の9割以上が、偽物とも言われています。
本物と見分けがつかないほど精巧に作られていることがあり、簡単にはわかりません。
そのため、専門家に見てもらうのが一番です。中国古銭を売る前には、専門家や信頼できる買取業者に鑑定してもらうことも大切です。
偽物を見分けるポイントは重さや直径、素材、溝の深さなどです。また、磁石にくっつくか試してみるのもおすすめです。
側面にあるギザという溝は、深さや間隔が一定です。この間隔が荒い場合には注意が必要です。デザインにも注目しましょう。雑に作られているものは、偽物の可能性が高くなります。
本物は一定の重さやサイズになっているので、それと比べてみると偽物がわかる場合があります。ただし、古いもののため削れたりしていて、通常より軽い場合もあります。
しかし、明らかに大きさや重さが違う場合には、偽物の可能性が高くなります。
銅や銀は磁石にくっつかないため、有効な場合があります。ただし、確実ではありません。磁石にくっつかない偽物もありますので、他の方法とあわせて判断することが必要です。
中国古銭は、その歴史や文化を反映した貴重な遺産として、収集家や研究者に人気があります。
しかし、中国古銭の価値は種類や状態や需要によって大きく異なり、偽物も多く出回っています。
中国古銭を高く売るためには偽物に注意し、状態を保ち、そのうえで需要を見極めることが大切です。
偽物を見分けるのは難しいため、信頼できる専門家に相談することも必要になります。
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