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「絵銭はお金ではないのに価値はあるの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。
実際に貨幣として使われていたものではありませんが、絵銭も銭貨の形をした貴重な民芸品です。
そこで今回の記事では、絵銭の種類と価値を解説していきます。高額買取してもらうためのポイントにも触れるため、ぜひ参考にしてください。
絵銭は実際のお金ではなく銭貨の形をしたアイテムです。日本では、室町時代から大正時代にかけてお守りや民芸品として広く流通していたと言われています。
絵銭には七福神や富士山といったさまざまなデザインがあり、それぞれに重要な意味があります。時代背景や当時の文化を反映していることが多く、コレクターにとっても絵銭は魅力的なアイテムです。
そのため、特定の銭のコンプリートを目指す方もいらっしゃるほど。だからこそ価値が生まれるのでしょう。
絵銭は歴史や神話から着想を得たさまざまな模様が描かれています。
いったいどのようなデザインや絵があるのでしょうか。
続いては代表的な絵銭の種類を紹介します。手持ちの絵銭がどの種類に該当するかを確認する際には、それぞれの特徴や彫刻を注意深く観察してみると良いでしょう。
江戸幕府初の銭貨である寛永通宝を作った水戸藩が、幕末に作ったとされる絵銭が水戸虎銭です。
最初はお金を作る職人に給料を支払うために使われていましたが、後に町や藩の外でも使えるようになりました。五十文の価値があり、切手としても使われていたようです。
そのため絵銭と言い切ることはできませんが、表に綺麗な虎が描かれていることから、絵銭の一種として扱われることもあります。
また、裏には「富国強兵」と書かれています。これは、幕末に日本に開国を迫った列強諸国からの圧力に対抗する水戸学の考え方を示しています。
明治時代から大正時代にかけて作られた鏡屋銭は、鏡職人によって製作されたと伝えられています。めんこ(面子)と呼ばれる遊具として作られ、その厚みと頑丈さが特徴です。
鏡屋銭には一般的に家紋が描かれており、鶴丸や木瓜(ぼけ)などさまざまな紋章が精巧に彫り込まれています。
江戸時代に盛岡藩の大迫銭座で製作された絵銭はお守りとして広く活用され、大迫銭座では金運を高める縁起の良いシンボルとして愛されました。
この絵銭は後述する駒曳き銭としても知られているほか、馬を引く猿の姿が描かれていることが特徴です。
当時、農作業において馬は不可欠であり、その馬の健康を守る守護動物として猿が信仰されていたことが由来とされています。反対側には波模様と大迫の「大」が彫られています。
五位堂銭は、奈良県北葛城郡五位堂村(現在の香芝市五位堂)で、石蹴り用に作成された鉄製の絵銭です。
鋳物を製造する際に余った溶けた鉄を利用し、職人が「子どもたちが遊べるように」と考えて制作されたものとされています。
特に、五位堂銭 菊にはその名のとおり美しい菊の模様が彫られています。状態が良い場合、これらの遊び用の絵銭でも取引価格は数万円に達することがあります。
富士山を神格化した神を祀る浅間神社の信者が、身につける護符として使われたとされるのが浅間銭です。
これは鏡屋銭と同様にめんことしても利用され、そのデザインには大黒様や富士山などが描かれています。
特に人気のあるデザインには「浅間恵比寿」「浅間二神」「南蛮人」などがあり、これらは希少価値が高く、状態が良い場合には数十万円の査定額が期待できます。
信仰の象徴としてだけでなく、美しい見た目も相まって、収集家にとっては魅力的な絵銭とされています。
1750年以降に飾職人(かざりしょくにん)によって作られたとされる絵銭です。主に、その時代に活躍していた歌舞伎役者の頭文字や定紋が刻まれており、当時の文化に触れることもできます。
また、飾職人による美しく繊細なデザインが特徴で、一部のデザインでは数十万円の買取価格がつくこともあります。
打印銭には、薄い作りの「陽刻銭(ようこくせん)」と分厚い作りの「陰刻銭(いんこくせん)」の二種類があります。それぞれの特徴は次のとおりです。
一般的には、陽刻銭は子どものおもちゃとして使われていたと言われていますが、一方、陰刻銭は何に使用されていたのかはわかっていません。
価値についてですが、陽刻銭の中でも非常に薄いものは数十万円の価値がつくことがあるようです。
絵銭には夷様(えびすさま)や大黒様などの「福神」が描かれているものもあります。
両面や片面に福神が刻まれており、福神の絵柄だけをコレクションとしてまとめて販売することもあります。
その人気は高く、特に大きくて希少な福神の絵銭は、数十万円で取引されることもあります。
駒曳き銭は馬が描かれた絵銭を指します。当時、馬は神の乗り物と見なされ、異界への往来を可能にする神聖な存在とされました。
そのため、馬には呪力があると信じられ、馬が描かれた駒曳き銭は呪物として活用されることもありました。
また、駒曳き銭にはさまざまなデザインが見られますが、珍しいものは数十万円以上の高値がつくこともあります。
「南無阿弥陀仏」と刻印された絵銭で、浄土真宗や浄土宗の信者が護符として使用していました。
17世紀には六道銭(死者を葬る際に三途の川の渡し銭として棺に入れる銭)として使用されており、特にサイズが大きなものは価値が数万円に達することもあります。
題目銭は主にお墓から発見され、その多くには「南無妙法蓮華経」という言葉が刻まれています。具体的な用途ははっきりしていませんが、お葬式や故人に関連するものと考えられています。
先に述べたとおり、かつて日本では死者が三途の川を渡る際には渡船料が必要だと信じられ、死者と一緒にお金を棺桶に納める習慣が一般的でした。
このような用途のお金を「六道銭」と呼び、題目銭も六道銭の一形態として使用されたとされています。
民間の家や神社、仏閣の上棟式が行われる際に記念に使用したと言われる絵銭です。
特に、諏訪神社や花岡神社の上棟銭は有名です。
また上棟銭は、建築の儀式に関連するものとして地域や神社仏閣によって異なるデザインや意味合いを持っています。なお、一般的には数千円程の価格で取引されているようです。
穴一銭とは子どもたちが使用した遊ぶための絵銭です。具体的には穴を掘ってそこに銀貨を投げ込み、穴の中から銀貨を弾き出す、という遊びに使われました。
穴一銭には宝珠や福の神、そして弁慶と義経の戦いなど、さまざまなデザインが刻まれています。
一部の穴一銭は数十万円で取引されることもありますが、多くのデザインは数千円程度で売買されます。
子どものおもちゃとして作られた絵銭で、めんこに使用されていました。遊びやすさを重視して片面が無地で平らに仕上げられ、分厚いのが特徴です。
通常は数千円で取引されることが多く、絵銭の中では比較的価格が安定している傾向があります。
子どもたちが遊ぶために作られた絵銭であるため、収集対象としては魅力的な存在ではありますが、それほど高額で取引されることはありません。
絵銭は通貨としての役割はないものの、買取業者では古銭として取り扱ってくれます。
経験豊富なプロの鑑定士であれば、隠れた価値を見極め、高値で買い取ってくれることもあります。さらに高く買い取ってもらうためには、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
絵銭には思わぬ希少価値がつくこともあります。
そのため、高く売りたい場合は早めに査定に出すことが重要です。
絵銭は日本だけでなく海外にも存在します。
たとえば、中国の絵銭は彫刻の繊細さと美しい透かし模様が特徴で、美術品として人気があります。
厭勝銭(ようしょうせん)というおまじないに使われた古銭も、亀蛇(きだ)や竜鳳(りゅうほう)、新月などの多様な絵柄が刻まれているため、絵銭に似た存在です。
なお、厭勝銭が発展した背景には貨幣経済の普及があるとされており、貨幣が持つ呪術的な力が銭に仮託されたと言われています。
「絵銭」は通貨として使用されず、主にお守りや儀式などに活用された古銭の一種です。
本記事で紹介したように、絵銭にはさまざまな種類が存在し、その価値を正確に評価するにはプロの力が必要です。査定を検討する場合は、実績豊かな買取業者に依頼することがおすすめです。
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