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甲号兌換銀行券と乙号兌換銀行券の価値を種類別に解説!

甲号兌換銀行券・乙号兌換銀行券アイキャッチ

甲号兌換銀行券(こうごうだかんぎんこうけん)と乙号兌換銀行券(おつごうだかんぎんこうけん)は、明治から昭和にかけて発行された日本銀行兌換券の一種です。

かつては金と交換できる紙幣として流通しており、現在は古銭として高い価値を持っています。

本コラムでは、甲号兌換銀行券と乙号兌換銀行券の特徴や種類別の買取相場をくわしく解説します。

甲号兌換銀行券や乙号兌換銀行券について興味がある方、手元にあって売りに行きたいと考えている方はぜひお読みください。

そもそも兌換銀行券ってなに?

兌換銀行券とは、紙幣と同額の正貨を交換できる銀行券のことです。

正貨とは金や銀のことで、兌換には「紙幣を本位貨幣と引き換えること」という意味があります。

簡単に言うとたとえば、1,000円札なら1,000円分の価値がある金や銀に換えてくれるということです。

日本では、1885年に日本銀行兌換銀券が発行されました。しかし、1917年に第一次世界大戦が起きて世界的に金や銀が不足したことで兌換は停止になり、1942年に管理通貨制度が採用されて兌換制度は完全になくなりました。

管理通貨制度とは、中央銀行などの通貨当局が通貨の流通貨幣量を調節する制度です。

通貨が不足したり、逆に過剰になったりしないよう通貨当局が調節し、物価の安定や経済の成長などにつなげます。

兌換制度が廃止になるまでに発行された日本銀行兌換銀券は「日本銀行券」となり、金や銀との兌換を保証しない不換紙幣として使用されました。

甲号・乙号兌換銀行券の発行経緯と特徴

甲号・乙号兌換銀行券は、金本位制にもとづいて日本銀行が作った紙幣のひとつです。

金本位制度とは、金の価値を基準に紙幣の価値を決める制度です。

金と同等の価値を持ち、金と自由に交換できる紙幣として、他にも改造兌換銀券や大正兌換銀行券などの日本銀行兌換券が発行されました。

次から甲号・乙号兌換銀行券の発行経緯と特徴をくわしく解説します。

発行経緯

日本は、金と交換できる紙幣として甲号兌換銀行券を発行しました。

甲号兌換銀行券の発行以前は、銀本位制に基づいて紙幣が作られていました。

たとえば「旧兌換銀行券(通称『大黒札』)」や「改造兌換銀行券(通称『めがね100円』や『分銅5円』など)」があります。

ところが外国では、金を通貨の価値基準とする制度・金本位制が一般的でした。

そこで日本は、世界の流れについていくために金本位制を導入したいと考えていたのです。

しかし、当時の日本は貧しい国でした。

金本位制にしたとしても金がすぐになくなってしまう恐れがあったため、仕方なく金よりも安価な「銀」による、銀本位制を採用していました。

しばらくして日本は1894年の日清戦争に勝ち、多くの賠償金を得ました。

国が豊かになったことで金本位制を実現させ、金本位制度を採用した際に甲号兌換銀行券を発行したのです。

しかし当時は、現在よりも紙幣の偽造が簡単にできる時代でした。

徐々に、偽造紙幣が多く流通するようになったのです。

そこで日本銀行は、1910年に偽造が容易にできない乙号兌換銀行券という新しい紙幣を発行しました。

特徴

甲号兌換銀行券は長い流通期間の中で、少しずつデザインが変わっていきました。

発行は前期・後期に分かれており、時期によってデザインが異なります。

前期の甲号兌換銀行券は、組番号が古い日本語の文字である万葉仮名で表されていました。

一方、アラビア数字で組番号が書かれているのが、後期の甲号兌換銀行券の特徴です。

乙号兌換銀行券は偽造防止のために、当時主流ではなかった新しい技術が取り入れられています。

紙幣の透かし部分に丸い枠をつけたのも、乙号兌換銀行券が初めてです。

また、肖像画は当時最高の技術である彫刻で作られており、裏面も細かく複雑に描かれていました。

甲号兌換銀行券の種類別価値

甲号兌換銀行券は、以下の3種類が作られました。

  • 甲号兌換銀行100円
  • 甲号兌換銀行10円
  • 甲号兌換銀行5円

それぞれの特徴や価値を解説します。

甲号兌換銀行100円

甲号兌換銀行100円は、1900年に発行された紙幣です。

表には大化の改新を進めた藤原鎌足と談山(たんざん)神社が描かれています。

裏に描かれているのは、国指定重要文化財になっている日本銀行本店本館の全景です。紫色で印刷されていることから「裏紫100円」とも呼ばれています。組番号の表記が、アラビア記号と万葉記号の2種類あります。

甲号兌換銀行100円は古銭としての価値が高いです。特に万葉記号の物は珍品として数十万円~百万円以上で取引されることもあります。

甲号兌換銀行10円

甲号兌換銀行券10円には、表には和気清麻呂(わけのきよまろ)と護王(ごおう)神社が描かれています。

和気清麻呂は平安京を建てたときの現場監督にあたる人物で、護王神社は和気清麻呂が祀られている神社です。

裏には猪の図柄と英語での額面が描かれており「裏猪10円」とも呼ばれています。

ちなみに、和気清麻呂が描かれている10円札は1種類ではありません。

「兌換券10円」の他に「不換紙幣10円」「改正不換紙幣10円」「再改正不換紙幣10円」があり、それぞれ1次~4次と区別されています。

甲号兌換銀行券の10円は、最初に発行されたことから「1次10円」とも呼ばれています。

買取相場は、前期・後期ともに数万円程度です。ただし、後期の新品の物は数十万円にもなることがあります。

甲号兌換銀行5円

甲号兌換銀行券5円は、表に武内宿禰(たけしうちのすくね)と背景に宇倍(うべ)神社が描かれています。

武内宿禰は、大和朝廷初期に国政を補佐したと言われている伝説の人物です。

宇倍神社は武内宿禰が御祭神であるため、甲号兌換銀行券5円の背景に採用されました。

甲号兌換銀行券の5円は、表面の中央に武内宿禰の肖像画があるため「中央武内5円」とも呼ばれています。

買取相場は、前期の物は買取価格が低めで1万円前後です。しかし、状態が良ければ数万円~10万円前後にもなります。

後期の物は価値が高く、数万円が買取相場となっています。

乙号兌換銀行券の種類別価値

乙号兌換銀行券は、1886年~1939年まで発行された紙幣です。

肖像画には緑色のインクが使われており、簡単に偽造できないように考えて作られました。

種類は乙号兌換銀行5円の1種類のみです。

特徴や価値を解説します。

乙号兌換銀行5円

表面に菅原道真の肖像と大黒天の透かしが緑色で印刷されたのが、乙号兌換銀行券5円です。

1886年~1939年の間に発行されたもので、透かし大黒5円と呼ばれることもあります。

印刷に使われている緑色のインクによって肖像画が不気味に見えることから、「幽霊札」とも呼ばれていました。

状態が良ければ、数千円~数万円の価値があるとされていますが、傷みが少ない美品なら10万円近くになる可能性もあります。

旧紙幣・古紙幣の価値を高めるための保管方法

甲号・乙号兌換銀行券などの紙幣は、状態によって買取価格が変わるものです。

綺麗な状態であるほど高価買取が期待できるため、保管方法には気をつけなければなりません。

紙幣は外気の酸化や湿度、紫外線などによって劣化してしまいます。

また、手垢や皮脂がついたままだと虫食いやシミの原因にもなるため、注意が必要です。

古紙幣や旧紙幣の価値を高めるには、アルバムホルダーに入れて保管するのが最適です。

ただ、ホルダーに入れても虫害や湿気による劣化の危険があります。

アルバムに入れた後は、湿気のない場所に保管したり、防虫対策をしたりする必要があります。

また、紙幣は洗浄せずにそのまま置いておくのがおすすめです。

「綺麗にしたほうが価値も上がる」と考える方も多いですが、甲号・乙号兌換銀行券などの古紙幣や旧紙幣は、何も触らないほうが高値になることもあります。

洗浄の仕方によっては逆に状態が悪くなってしまうことも少なくありません。

クリーニングは行わず、そのままの状態で買取に出してください。

まとめ

甲号兌換銀行券と乙号兌換銀行券の特徴や種類別の買取相場について解説しました。

甲号兌換銀行券は100円・10円・5円があります。

甲号兌換銀行100円の買取価格は、組番号の表記が万葉記号であれば珍品として数十万円~百万円以上になることもあります。

甲号兌換銀行10円は、後期に作られた物で新品なら数十万円になるかもしれません。

甲号兌換銀行5円は、状態が良ければ数万円~10万円前後ほどです。

乙号兌換銀行券は乙号兌換銀行5円しかなく、美品なら10万円近くになる可能性があります。

少しでも買取価格を上げるためにも、アルバムホルダーに入れたり、湿気のない場所に置いたりして保管方法に気を配るようにしてください。

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